韓国統一省は24日、北朝鮮が韓国に向けて飛ばした「ごみ風船」について、韓国製の服を切り刻んだとみられる布の切れ端や、寄生虫が含まれていたと発表した。最高指導者に関する文書の紙切れも見つかった。韓国軍合同参謀本部は24日夜、北朝鮮が再び風船を飛ばしていると明らかにした。

 同省によると、今月4〜11日に回収された約70個の風船にぶら下がっていた袋の中身を調べた。大半は紙切れやペットボトル、ビニールなどだったが、韓国製のネクタイやジャンパーなどの切れ端も見つかった。2000年代から北朝鮮に衣類の支援を行っていた企業の商標が確認された。統一省は「韓国の支援品を使うことで反感と敵対感を示した」とみている。

 中身に含まれていた土を解析したところ、人の便などにいる寄生虫が検出された。土は少量だった。同省は、北朝鮮が化学肥料の代わりに人糞(じんぷん)を肥料に使用していることや、非衛生的な生活環境などが影響したとの見方を示した。

 また「偉大な領導者 金正日(キムジョンイル)大元帥様 教示」と書かれた文書の表紙が半分に切られたものや「朝鮮労働党総書記に……」という文字が残る紙切れもあった。最高指導者に関する文書を毀損(きそん)する行為は北朝鮮の刑法で重罪にあたる。

 統一省関係者は聯合ニュースの取材に、ごみ風船作りには「一般市民も動員されたと把握している」と指摘したが、こうした文書がごみに含まれていた経緯は不明。

 北朝鮮は5月下旬〜6月上旬にごみ風船1000個以上を韓国に向け飛ばした。韓国側の脱北者団体が北朝鮮へ向け、体制批判のビラなどを散布したことへの対抗措置としている。

 脱北者団体は20日に再びビラや韓国ドラマなどの動画入りUSBメモリーを風船で飛ばしており、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記の妹、金与正(キムヨジョン)党副部長が反発する談話を発表していた。【ソウル日下部元美】