「こども食堂 紙ひこうき」が4月6日、秩父宮記念市民会館(秩父市熊木町)で活動を始めた。(秩父経済新聞)

 代表の神田さん

 「こども食堂」は、地域住民や自治体が主体となり、無料または低価格帯で子どもたちに食事を提供するコミュニティーの場を指す。代表の神田弘子さんは、以前は「こども食堂 しばざくら」を運営していた。「こども食堂を始めたきっかけは、日本の子どもの7人に1人が貧困であるというニュースを耳にしてショックを受けたことから。それと同じ頃にこども食堂というボランティア活動が広まってきていることも知り、友人3人と2021年5月に秩父教会(上町)の駐車場で『埼玉県子ども食堂ネットワーク』を通じて企業から寄付された大量の食料品を配ったのが活動の始まり」と話す。

 「コロナ禍の影響はあったが、支援品の配布などの活動を続けていた。昨年末に仲間の高齢化と体調不良により活動をやめようかと思っていた時に、同じ秩父市内で他のこども食堂のボランティアに参加していた井深有希子さんから『秩父市内にこども食堂をもっと増やしたいと思っている』と聞いた。新しい仲間を募って『紙ひこうき』と改名し、みんなで一緒に食べる会食形式のこども食堂を開くことを2人で決めた」と神田さんは振り返る。

 当日はスタッフを含め20人の子どもや大人が集まった。食事を食べる前に折り紙で紙飛行機を作ったり、本の読み聞かせなどをしたりして交流の場を設けた。食事の始まりと終わりには子どもの元気な「いただきます」と「ごちそうさまでした」の発声も聞かれた。

 食料品や日用品、玩具などは同ネットワークを通じて全国各地の企業などから支援を受けており、アマゾンの「ほしいものリスト」からの支援もある。活動資金は秩父市の交付金や「ファミリーマート&むすびえ(全国こども食堂支援ネットワーク)こども食堂スタート応援助成プログラム」や秩父市社会福祉協議会の各種助成金や個人からの寄付などを活用している。

 神田さんは「楽しく遊び、その後もみんなで一緒にご飯を食べられたことは本当にうれしく、開催して良かった。参加者がほとんど初対面とは思えない様子で交流し、和やかな時間があっという間に過ぎていった。こうして開催できたのは、活動を理解し協力してくださる地元の飲食店をはじめ、周りの皆さんのおかげ」と話す。

 参加した秩父市在住の今井さんは「幼稚園の友達のお母さんに誘われて初めてこども食堂に遊びに来た。室内での開催だったので安心して子どもが遊べて良かった。みんなでご飯を食べたことはもちろん、折り紙を教えてもらえたことなど、知らない子どもが来ても食事や遊びを通してつながることができるのでは」と話す。

 神田さんは「小さい子どもの世話で、落ち着いてご飯が食べられないお母さんたちを見ていたら、かつての自分の姿を思い出した。親が忙しいのは当たり前かもしれないが、親に余裕があれば子どもの笑顔も増えると思う。月に1度のこども食堂で、子どもも親もみんなと楽しく遊んでご飯が食べられ、全員が笑顔で過ごせる場所になれば」と期待を込める。

 次回は5月4日、同所での開催を予定する。16時30分開場で、食事は17時30分〜。食事は事前申込み制で1度の開催で20食まで。中学生以下は無料。高校生以上は150円(1世帯20歳以上2人まで)。