東京都健康長寿医療センター(板橋区栄町)と連携した企画展「渋沢栄一とお札のはなし」が現在、板橋区立高島平図書館(高島平3)1階の「コミュニティスペース」で開かれている。(板橋経済新聞)

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 東京都健康長寿医療センターは、渋沢栄一が1879(明治12)年から91歳で亡くなるまでの約50年間、初代院長を務めたことで知られている「東京養育院」跡地に立つ医療施設。関東大震災後に現在地を含む一帯に施設を移転し、病院、乳児院、孤児院、養老院などの機能を併せ持った養育院事業を前身に、現在は高齢者医学・医療の実践、老年学研究の草分け的機関として病院施設と研究所を併設している。

 高島平図書館の副館長・石関香さんは、「コロナ禍で使用が制限されてしまった休憩・自習スペースを有効活用しようと、2021年から地元企業や地域団体に使用を呼びかけ、地域活性につながる展示企画を行っている。その中で健康長寿医療センターへ相談し、昨年8月と11月の2回、異なる内容で渋沢栄一に関する展示が実現できた」と話す。今回で3回目となる同センターとコラボ企画では、今年7月に発行される渋沢栄一の肖像を使った新1万円札にちなみ、同館で渋沢栄一やお金に関する貸し出し可能な蔵書を並べ、同センター職員の宮本孝一さんが掲示・展示物と「お札と切手の博物館」(東京都北区)から貸し出しを受けた「お札の歴史」解説パネルを用意した。

 宮本さんは同センター内の職員用図書室「老年学情報センター」の図書館司書で、2013(平成25)年に開設した「養育院・渋沢記念コーナー」で利用患者とその家族向けの医療・健康に関する本の貸し出しコーナーを担当するほか、養育院の歴史や渋沢栄一の業績などを紹介するリーフレットや展示制作のサポートなども手がけている。

 高島平図書館との企画展では、これまでも宮本さんが新たに展示物を制作。各回で渋沢栄一をモデルにした新キャラクターを創作するなど、個性的な内容がSNSでも話題になっている。今回の展示では「渋沢栄一とお札のはなし」と題し、渋沢栄一が発行に携わった地域紙幣や太政官(だじょうかん)札、「明治通宝」といった和式縦長紙幣をはじめ、渋沢が主導した国立銀行条例、大蔵省を辞めた後に国立銀行の頭取になった際に発行された渋沢の名前入り銀行券などを紹介する大判の掲示物を制作。新キャラクター「怪盗シブサワ」が複数の展示物に登場し、記念撮影できる新1万円札をモチーフにした「顔はめパネル」なども新たに制作した。

 宮本さんは「展示では毎回、『幅広い世代に面白いと感じてもらえるにはどうしたらいいか』という点を模索している。新札の話題ばかりでなく、渋沢栄一が発行に関わった藩札や、渋沢栄一の名前が印刷されたお札など珍しい紙幣を見てほしい」と話す。

 開館時間は9時〜20時。4月29日まで。