本文を入力してください 習志野の酒販店「張替酒店」(習志野市大久保1)の最後の特別見学会が5月12日と19日に開催され、100人以上が参加した。同店移転に伴い見学会は今回で最後となる。(習志野経済新聞)

 習志野の張替酒店で最後の見学会 出征時の資料も初公開

 昨年6月に「わくわく建築」の藤沢うるうさんとコジマユイさん、郷土史家の明里さんが中心となり「習志野の歴史を語る会」と共催して開いた同見学会。定員を超える申し込みがあり、枠を拡大して初めて開いた。第2、3回は「習志野の歴史を語る会」と明里さんが主催。いずれも満員になり、宮本泰介習志野市長や佐々木秀一市議会議長、小熊隆教育委員長も参加するなど注目を集めた。

 4回目となる今回は、同会と明里さんが主催し、藤沢さんやコジマさんもスタッフとして参加。ガイドが家屋の建てられた時期の違いや使われている木材の種類、歴史的価値、床の間の貴重な黒柿の装飾、金箔(きんぱく)が使われている天袋や富士山の装飾のガラス戸について解説すると、参加者は質問したり撮影するなどしていた。

 映画「硫黄島からの手紙」で渡辺謙さんが演じた日本軍部隊を指揮した栗林忠道司令官も店を訪れ酒を飲んでいた縁があり、現在も店の奥の和室には第29代内閣総理大臣・犬養毅のペンネーム「木堂」の掛け軸が飾られている。店を整理中、先日見つかった2代目店主張替兵四郎出征時の写真や祝いの品として贈られた掛け軸なども今回初めて公開した。

 見学会が最後になることについて、藤沢さんは「初回の見学会で明里さんからの紹介でガイドさせていただき、今回も声がけいただきとても光栄。陸軍など歴史ある土地で、歴史ある建物が残っていることは今となってはとても貴重なこと。それが今後も残り続けてくれれば」と話す。

 同会スタッフで以前もガイドを務めた杉山精命(くわな)さんは「ガイド以外もここ2、3カ月ぐらいは週末に資料の整理などでここに来ていたので、とても思い入れがある。張替一族の歴史にずっと触れ合い続けてきたので、思い入れは強い。今回が最後なのは悲しいが、この建物とそこに詰まっている歴史の魅力を伝えられるのは非常に喜ばしい」と話す。

 全ての見学会に関わり、現在も張替酒店の資料を整理している明里さんは「回数を重ねて応募者が増えてきたので事前準備や当日の運営が大変だったが、関西からも来てくれる人がいたりと多くの人に来てもらえて建物も喜んでいるように感じる」と振り返り、「ガイドによる詳しい建物や張替酒店の歴史の説明によって、見える解像度が変わるのかなとも思う。張替酒店だけでなく、身近の古い建物に興味を持つきっかけになれば」と期待を込める。