犬と猫を題材にした日本画などを紹介する展覧会「犬派?猫派?―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」が現在、広尾の日本画専門美術館・山種美術館(渋谷区広尾3、TEL 03-5777-8600)で開かれている。(シブヤ経済新聞)

 初公開となる「洋犬・遊女図屏風」(作者不詳)

 現在もペットとして親しまれている犬と猫は、古くから日本の絵画で描かれていたという。同展では、犬と猫を題材にした江戸時代から現代までの作品を中心に、犬猫以外の「身近な」動物を描いた作品も含め56点を展示する(一部展示入れ替えあり)。

 第1章「ワンダフルな犬」では犬を描いた作品28点(描かれている犬は62頭)を展示。絵の具のにじみを生かした技法「たらし込み」でぶち模様の子犬を描いた俵屋宗達の「犬図」(17世紀)、白と黒の子犬2匹を描いた伊藤若冲の「狗子図」(18世紀)、飼い犬をモデルにした川端龍子の「立秋」(1932年)、「秋縁」(1947年)など。西洋との交流が盛んになったことから桃山〜江戸時代初期には洋犬が流行し、風俗画にも描かれるようになったという。初公開となる17世紀の「洋犬・遊女図屏風(びょうぶ)」(作者不詳)にはダックスフンドのような犬が描かれている。

 第2章は猫の作品24点(描かれている猫は173匹)を紹介する「にゃんともかわいい猫」。常に猫5、6匹を飼っていたという歌川国芳が東海道の宿場名を猫に関連した語呂合わせで描いた「其のまゝ地口猫飼好五十三疋(そのままじぐちみょうかいこうごじゅうさんびき)」(1848年ごろ)、サインの代わりに猫を描くこともあったという藤田嗣治の「Y夫人の肖像」(1935年)、鶴と猫というお題から擬人化した猫が鶴を捕まえている様子を即興で描いたという山口晃さんの「捕鶴圖」(2014年)など。今年の公募展「Seed 山種美術館 日本画アワード」で奨励賞を受賞した小針あすかさんの「珊瑚の風」も並ぶ。

 特別展示として「トリ(最後)は花鳥画」と題し、暗がりの中で木の枝に止まるミミズクを描いた横山大観の「木兎」(1926年)、故・上村松篁(しょうこう)さんの代表作「白孔雀」(1973年)など花鳥画4点を紹介する。

 過去の展示でも人気という9匹の子犬を描いた長沢芦雪の「菊花子犬図」(18世紀)と、ポーズを取らせるために猫の背中に蜂蜜を塗ったともいわれているという重要文化財である竹内栖鳳(せいほう)の「班猫」(1924年)は、来場者も撮影できる。

 館内のカフェ「cafe椿」では、同展にちなんだオリジナル和菓子を提供。竹の根元でカタツムリを眺める子犬が描かれている神坂雪佳の「『百々世草』巻2より『狗児』」をこしあんと淡雪羹でイメージした「竹林」など、抹茶とのセット(1,350円)などを用意する。ミュージアムショップでは出品作品をあしらったクリアファイル(450円)やマスキングテープ(550円)、クッションカバー(3,300円)などを販売。

 開館時間は10時〜17時。月曜休館。入館料は一般=1,400円、大学・高校生=1,100円ほか。7月7日まで。 会期中には学芸員によるギャラリートークを予定する。