韓国ドラマ界隈を盛り上げている「私の夫と結婚して」(Amazon Prime Videoで配信中)。末期がんになり、親友と夫の不倫現場を目撃したうえに殺されてしまうが、気づいたら10年前に戻っていた主人公のカン・ジウォン。同じ運命を繰り返さないために2回目の人生をやり直す物語がヒット中だ。
この主人公を演じているのがパク・ミニョンである。みるみる運命を変えていく様子は爽快であり、新しい運命を切り開く一人の女性を堂々と表現していて応援したくなる役柄だ。また、がん患者を演じるために37kgまで減量したことが話題に。「いつまでこのようにキャラクターに対する情熱を注ぐことができるのか疑問もあった。最後に大きな力を振り絞って死ぬ気でやってみた」とコメントし、ストイックさや役者としての気概を見せている。
■20歳で女優デビュー、あの大人気ドラマの男装ヒロインで一気にブレイク!
ラブコメやロマンス作品のイメージが強い彼女だが、女優デビュー作は2006年に韓国で放送されたシットコム(シチュエーション・コメディー)の「思いっきりハイキック!」。3代の家族が暮らす日常を描いた大人気のホームコメディーで、シーズン3まで制作され、新人俳優の登竜門とも呼ばれた。パク・ミニョンは本作でMBC放送演芸大賞シットコム新人女優賞を受賞し、2007年には「アイ・アム・セム」のヒロイン役に大抜てきされるなど、女優としての道を軌道に乗せていった。
2010年にはヒット作の「トキメキ☆成均館スキャンダル」で共演したソン・ジュンギらとともにブレイクを果たす。第2次韓流ブームとも言われた年でもあり、韓国ドラマが再熱した頃で日本でも注目される。女性禁制の名門校・成均館で若きイケメンエリートたちと青春を繰り広げる物語で、パク・ミニョンは男装したヒロインとして出演。女性の活躍が許されない時代に、男性のなかで才能を発揮していく姿はたくましくもあり、多様な一面を見せて視聴者を魅了した。韓国の時代劇ドラマでは「雲が描いた月明かり」や「恋慕」など男装ヒロインが主役とする作品も多いが、パク・ミニョンが元祖を務めたとも言えるのではないだろうか。
■ロマンス、アクション、時代劇まで…美しいビジュアルはもちろん、演技まで完璧
2011年には「シティーハンターin Seoul」や「栄光のジェイン」と立て続けに主演が続き、チ・チャンウクと主演を務めた「ヒーラー〜最高の恋人〜」は人気ドラマに。傷を抱えながらも真っ直ぐな三流記者役で可愛らしいキャラクターはお馴染みのバリキャリとは正反対で、また違った良さが際立つ。本作ではKBS演技大賞で女性部門優秀賞やベストカップル賞を受賞。素性を明かせないという設定だからこそ誕生した切なく特別キスシーンなどが話題に上がったドラマだ。
そして演技力を見せつけたのは時代劇ドラマ「七日の王妃」である。2人の王との三角関係の中で一途な恋を描いた切ない王宮ロマンスだ。実話をモチーフとした作品で、たった7日間だけ王妃になった悲劇の女性を演じる。パク・ミニョンの熱演ぶりに胸が締めつけられ、とにかくつらい。涙が枯れるのではと心配になるほど幾度となく涙を流す姿はインパクトを残す。新たな魅力を知ることができるので、彼女を深堀りしたい方にはぜひ見ていただきたい作品の1つである。
■パク・ミニョンのファッションやメイクも、女性ファンのなかで大人気
とはいえ、“ラブコメの女王”と呼ばれるパク・ミニョンの代表作といえば、やはり「キム秘書はいったい、なぜ?」だろう。日本でも一気に認知度を上げ、放送されていた2018年当時は韓国ドラマファンでなくてもドラマ名を知っている人が多かった記憶がある。パク・ソジュンが演じたナルシストでツンデレな御曹司の秘書役を務めたパク・ミニョンは、“今年の女性キャラクター”、“木曜のアイコン”などと呼ばれ、数々の授賞式で賞を獲得。キャリアウーマンといえばパク・ミニョンが思いつくほどキャラクターを確立させ、彼女が身を包むファッションやメイクが話題になるなどカリスマ性も発揮した。
「彼女の私生活」では華やかなカラーパンツスーツ姿でビシッと決めた美術館の首席学芸員かと思えば、ディープなオタクの一面を見せて親近感を持たせた。また、「月水金火木土」では全てがパーフェクトな契約結婚マスター役で、ウェディングドレスからTPOに合わせたスタイルまで惜しげなく披露。パク・ミニョンのファッションが1つの見どころであり、ファンの楽しみとなっていた。
共演者が誰であろうと最高のケミ(相性)を生み出す女優としても評判が高いパク・ミニョン。最近では「気象庁の人々:社内恋愛は予測不能?!」で人気若手俳優のソン・ガンと共演。年下男性×年上女性の職場ロマンスはOTTプラットホームで常にランキング上位にランクインするなど、人気ドラマの仲間入りをした。パク・ミニョンは最年少で課長に昇進した優秀な気象予報士の役。ソン・ガン演じる年下の気象予報官に振り回されてしまうギャップが楽しめる。ちなみに「私の夫と結婚して」の共演者ナ・イヌはドラマでは上司役だが、実際はパク・ミニョンよりも8歳年下と聞いて驚いた人も多かったのではないだろうか。もちろん彼女の美しさも要因かもしれないが、どんな役でも相手に合わせてキャラクターを落とし込める実力の持ち主であることを忘れてはならない。
■中国をはじめとしたアジア圏でも活躍…日本でも5年ぶりのファンミーティング開催!
パク・ミニョンの柔軟さを感じることができる作品にソ・ガンジュンと共演した「天気がよければ会いにゆきます」もあげたい。それぞれ傷を抱える登場人物たちが、春が来るまでに大切なものを取り戻していくヒーリングストーリーで、冷えた心をいたわってくれるじっくりと丁寧に入れたコーヒーのようなドラマである。毎日に疲れ切った主人公が田舎町で冬を過ごし、華やかな世界に身をおかず派手なファッションを身に付けず、日常に寄り添ってくれる彼女に次第に癒されてしまう。どんなパク・ミニョンも違和感なく自然に受け入れることができてしまうのが最大の魅力ではないだろうか。
中国をはじめとしたアジア圏にもファンが増え、2016年には初の中国ドラマ「時光之城」にヒロイン役として出演、2023年には2作目となる「時間の都市〜ロマンスはいつも予想外〜」で中国を代表する大スターのチャン・ジャーハンと共演した。日本でも来たる3月23日に5年ぶりとなる待望のファンミーティングが開催される予定だ。安定した演技力と認知度で主演をこなしてきたパク・ミニョン。これからもどんな役を自分のものにしていくのか楽しみでならない。
文/ヨシン
「私の夫と結婚して」が韓国で大人気!“ラブコメの女王”パク・ミニョンが歩いた女優としての軌跡
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