成田凌、中村映里子、森田剛が共演する日本と台湾共同制作の映画『雨の中の慾情』が11月29日(金)に公開されることが決定。超特報と場面写真が解禁された。

本作は、映画『さがす』(22)やドラマ「ガンニバル」で監督を務めた片山慎三が、つげ義春の同名短編をほぼ全編にわたって台湾でオールロケを敢行し映画化した数奇なラブストーリー。成田、中村、森田の実力派俳優をメインキャストに迎えて、2人の男と1人の女によるせつなくも激しい性愛と情愛を活写する。


アジア映画で史上初めてアカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』(19)のポン・ジュノ監督の助監督を務め、長編映画デビュー作『岬の兄妹』(18)で脚光を浴びた監督の片山が挑むのは、2024年にデビュー70周年を迎える「ねじ式」、「無能の人」などで知られるつげによる同名短編の映画化。「雨の中の慾情」は絵コンテのまま発表されたつげ義春ならではのシュルレアリスム作品で、2024年に欧州最大規模の漫画祭であるフランス・アングレーム国際漫画祭で歴史に残すべき作品に授与される、PRIX DU PATRIMOINE(遺産賞)にノミネートされた。この異端作をベースに片山が独創性あふれる数奇なラブストーリーを生みだした。また、本作は2023年3月に劇中のほとんどのシーンを台湾にて撮影。昭和初期の日本を感じさせるレトロな町並みが多い台湾中部の嘉義市にてオールロケが敢行された情緒あふれる映像世界も本作の大きな見どころとなっている。

脚本協力にクレジットされている大江崇允は『ドライブ・マイ・カー』(21)で監督の濱口竜介とともに脚本を担当し監督補を務めたクリエイター。片山とはすでに「ガンニバル」でタッグを組んでいる。つげの原作を起点に、ラブストーリー、スリラー、ホラー、コメディ、アクション、ヒューマンドラマと、1本の映画でありながらジャンルを超越し、全く先の読めない規格外のストーリーテリングで、過酷な現実に背を向けるほどに性愛に翻弄されてしまう皮肉と悲哀を強烈に描ききっている。

日本映画界を牽引する作り手が伝説の漫画家の世界観に挑む本作。今後の続報からも目が離せない。

■<キャストコメント>

●成田凌(義男役)

「このコメントを書くにあたって、なかなかこの作品に見合う言葉が出てこないのが正直なところです。数年前に企画書をいただいた瞬間の景色をいまだに覚えています。高ぶる感情を抑えられなかったのも。撮影は台湾9割、日本1割。日々が苦しく、楽しく、なんとも幸せで、気づけばこの作品にのめり込んでいました。どこへでも連れて行ってくれるようなスタッフと、どこまでも繋がれている気になってしまったキャストと、なかなか壮絶で、凄絶で、濃密な毎日を過ごさせていただきました。この作品の公開が近づいてきた喜びや期待、願いなど、様々な感情がありますが、とりあえず、なんかすごいのできました。って感じです。最後投げやりですみません、終われない気がしたのでこの辺で失礼します。『雨の中の慾情』、よろしくお願いします」

●中村映里子(福子役)

「片山慎三監督のユーモラスで奇異な演出、果てしない才能に驚嘆する毎日、多士済済の片山組。強烈に面白く楽しい撮影でした。私の中の野性が大喜びしていたのだと思います。しかし、撮影すればするほど、演れば演るほど、どんどん分からなくなっていったのです。これは、まさしく、つげ義春の世界を生きていた、ということでしょうか。そうであれば幸いです。すべての人間を祝福してくれるような作品になっていればと願っています。『雨の中の慾情』、よろしくお願いいたします」

●森田剛(伊守役)

「片山監督の岬の兄妹が好きで、今回参加出来る事が嬉しかったです。台湾でのロケは、なにが起こるか分からないヒリヒリした緊張感のある現場でした。この作品の生々しい異世界を楽しみにしていて下さい」

文/スズキヒロシ