能登半島地震は農業へも大きな影響を与えています。大きな被害を受けた大切な田んぼを守り続けようと、石川県珠洲市ではおよそ半月遅れての田植えが始まっています。

珠洲市正院町で長年米作りを行う谷内前吉昭さんの田んぼは、例年なら田植え作業が終わっている時期ですが、水を送るパイプラインが破損するなどし、今年のコメづくりが遅れています。

今はトラクターに乗り込んで、田んぼをならす「代(しろ)かき」作業に精を出しています。谷内前さんが所有する田んぼのなかには、地震により地盤が下がり今シーズンの作付けができなくなったところもあります。

作付けができない田んぼを示す谷地前さん

谷内前吉昭さん「ただでも珠洲の場合は耕作放棄地が増えていく中、被災したから直されませんよという耕作放棄地が増えていく。段々良い農地も失われていく」

地震の影響で農業を諦める住民もいる中、谷内前さんはことし新たに5ヘクタールの作付けを代わりに引き受けました。そして、ようやく良い知らせが訪れました。

谷内前吉昭さん「(パイプライン直った?)はい一応、きのうを持ちましてウチらの範囲内の5つあるポンプ場のパイプラインは全部直りました。これは業者さんの努力の賜物です」

破損していたパイプラインの修理がようやく終わり、妻の昭子さんと息子の達也さんが田植えに精を出します。

妻・昭子さん「家のこともほったらかしにして田んぼに付きっ切りでしょ?これから大変やなと思う」
吉昭さん「(こんなに遅い田植え)初めてですね。今月いっぱいで終われば上出来じゃないですかね、最高ですわね」

MRO

「珠洲の優良農地をいかに守っていくか、一枚でも荒らしたくないそういう気持ちで耕作する」と谷内前さんは語っていますが、先人たちが残した田んぼを守る気概で今シーズンの田植えにいそしんでいます。