土地取引などの目安として使われる今年の公示地価が発表され、都内の平均は前年比でプラス4.8%となり、3年連続で上昇しました。

公示地価と言えば、中央区銀座4丁目の「山野楽器銀座本店」ですが、今年も全国で最も地価が高い地点となり、1平方メートルあたり5570万円で、18年連続1位となりました。そして、都内の商業地では、台東区の浅草エリアが上昇率の上位を独占しました。

記者:「浅草に来ています。きょうも多くの外国人観光客が訪れています」

国土交通省が発表した今年の公示地価で、都内の商業地で上昇率が9.1%と最も高かった台東区。地点ごとの順位でも、上位5つを浅草エリアが独占し、最も高かったのは、つくばエクスプレスの浅草駅前にある西浅草2丁目で17.8%上昇しました。上昇の要因は、外国人観光客の増加によるインバウンド需要が復活したためで、新型コロナ流行前の価格を上回る形となりました。この結果に地元の人は…

包丁専門店店主:「売り上げが上がれば、地価が上がってもしょうがないと思うけど、外国人が入ってきてお客さんも増えてきているからこれはしょうがないことかなと思う」佃煮店店主:「(土地を)所有している身としては、(固定資産税が)とても辛いところはありますね。こういう形(インバウンド)で上がるのはちょっと困る」

記者:「商業地の上昇率が2番目に高かったのは、台東区の隣・荒川区です」

台東区に次いで、商業地での上昇率が高かった荒川区では、成田空港とのアクセスの良さもあり、インバウンドが上昇の要因と見られています。

荒川区在住歴50年以上:「昔は日暮里って人気がなかったが、交通が便利になったのでそれが要因じゃないですかね」

都の担当者は、商業地の公示地価について、「観光客で賑わう地域や、再開発が進む地域を中心に上昇する一方で、都心では大規模オフィスの賃料が低迷傾向のため、上昇率が低い地域もある」と分析しています。

そして、都内の住宅地についても公示地価は4.1%上昇しています。

上昇率が高い順に見てみると、23区では、豊島区の7.8%、中央区の7.5%、文京区の7.4%となっています。背景としては、広い住宅を求めるニーズや富裕層を中心に需要が旺盛で、特に都心のマンション需要の高まりは続いているということです。

続いて、多摩地域では、調布市・府中市・武蔵野市の上昇率が高く、再開発地域や駅が近く利便性の高い地域で、緩やかに上昇しているということです。

価格が上がり続けている都内の住宅事情について、不動産鑑定士の西原さんは、現在は「日本の富裕層と円安の影響で、外国人投資家が買っている」状況だとし、今後「マイナス金利の解除が地価上昇に歯止めをかける可能性はある」としています。