1都9県の知事が出席する関東地方知事会議が5月23日、開かれました。被災した家屋の認定の見直しなどについて、国に対し共同で要望していくことで一致しました。

関東地方知事会議は関東1都6県に加え、山梨・静岡・長野3県の知事で構成されています。会議では能登半島での状況も踏まえ、災害時における家屋の被害状況の認定見直しを要望していくことで一致しました。現状の被災した家屋の認定基準は、細分化され過ぎているなどの課題があるとして、AIの活用や建て替えが必要かどうかを基準にするなど抜本的な見直しを求めていくということです。

東京都の小池知事は記者団に対し「広域的な課題が多々あるが、共通して言えるのは高度化、複雑化しているということ。10都県が一致団結して国に強く働きかけていくことが重要。きょうの会議で、連携して取り組んでいくことを共有できた」と語りました。

また、会議では高校での教育費の負担軽減など14の案が了承され、今後、国に要望されることになります。

<関東知事会“高校無償化”国に提案へ 税収格差は?>

今回の関東知事会議で了承された14の案の中には、東京都に隣接する3つの県が「行政サービスの格差を生んでいる」と指摘している東京都の政策「高校の授業料無償化」に関連する要望もありました。

千葉県と神奈川県は、東京都が独自に行う「高校授業料の実質無償化」などについて、都道府県によって教育への支援内容が異なることから、保護者や生徒から「居住地により教育費負担に大きな差が生じることは不公平だ」という声が多く寄せられているとしています。そして、こうした行政サービスの格差を是正するための要望として、現在は所得制限が設けられている高校の就学支援金の支給対象を拡大することや、国の政策が行われるまでそれぞれの都道府県が行う「授業料の負担軽減策」に対し、国が財政支援を行うことなどが挙げられています。

一方で、これまで埼玉・千葉・神奈川が行政サービスの差を生む一因として訴えてきた「税収の格差」については今回の要望の中では触れられませんでした。これについて神奈川県の黒岩知事は会議後の取材に対し「今回の関東知事会は合意事項を探って、それを国に対して要望する。偏在税制の問題については今回はまだまだ足並みがそろっていないということ。まずは高校無償化については一致できた」と話し、今回の要望の足並みをそろえるために税収格差については触れなかったとしています。ただ、神奈川県と千葉県は「税収の差が行政サービスの格差を生んでいるのは事実」とこの日の取材でも主張していて、この指摘を「事実誤認」とする小池知事の主張との食い違いは今後も議論も呼びそうです。