長野県は、2023年度に諏訪湖で実施した水質調査の結果(速報値)を発表した。水の汚れを示す代表的指標4項目のうち、全リンの年平均値は湖の総合計画「諏訪湖創生ビジョン」で掲げる目標と環境基準を6年連続で達成。前年度比では全項目で数値がやや悪化または同等になったものの、県諏訪地域振興局環境課は「水質が悪化した印象はない。気候によって多少変動するが、長期的には環境改善が進んでいる」と説明した。

 調査は湖中心部(湖心)と諏訪市の初島西、岡谷市の塚間川沖の定点3カ所で、昨年4月から今年3月まで毎月1回実施。3地点で最も悪い場所の数値を公表した。目標値は26年度までの達成を目指している。

 透明度以外の3項目は値が低いほど良好。国の環境基準と比較して水質の程度を判断するときに用いるCOD(化学的酸素要求量)75%値は、湖水1リットル当たり4.9ミリグラムで前年度と同じだった。全窒素は同0.66ミリグラム、全リンは同0.047ミリグラム、透明度は1.0メートルで、いずれも前年度より悪化。全リン以外の3項目は目標達成に至らなかった。晴天が続き、富栄養化によってアオコが多く発生したことが数値悪化の要因とみられる。

 県では今年度も刈り取り船による水草ヒシの除去など、諏訪湖創生ビジョンに基づく官民協働の取り組みを実施する計画。同課は「4月には県諏訪湖環境研究センターが開所した。水質に関するより詳細な調査研究と分析を進めていきたい」としている。