5日は「こどもの日」。祝日法では「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」日と定める。長崎県長崎市の児童家庭支援センター「みなみやまてこども家庭支援センターびぃどろ」は、公認心理師ら専門職が地域・家庭からの相談や児童相談所からの指導受託などに当たる相談機関。「一人ひとりを大切に」をコンセプトにきめ細かな支援で相談者に寄り添い、不登校傾向の児童・生徒の居場所支援にも独自に取り組む。
 今月2日、約23平方メートルのスペースで中学生3人が電子ピアノやギターを弾いたり、折り紙をしたり、思い思いに過ごしていた。定期的に映画鑑賞や料理の時間もあり、やりたいことは話し合って決めている。
 同センターが取り組む居場所支援。「どがんあっと?」という名称で毎週月曜と木曜の午前10時〜午後3時、学校に行きづらさを感じる小学生から高校生までを受け入れる。
 3人に話を聞くと「学校は友達関係が複雑」「話しかけに行くのは無理」「ここに来れば学校も出席扱いになるし、楽しい」などと話した。出席扱いとなるかは必要な手続きを踏まえ、各校の校長判断という。
 副センター長の髙比良亮さん(47)は「周囲に気を使い過ぎたり、集団生活で自分を表現するのが苦手だったり、繊細な子が多い印象。朝起きて一つの場所に通う頑張りを認めてあげたい」と語る。
 同センターは2019年に社会福祉法人南山手会(大中和夫理事長)が開設。「(長崎のガラス工芸)ビードロのように、家庭も一つとして同じものはない。どんなに困難な状況でも、きらりと光るものがある」との思いを込めた。
 長崎市と西彼長与、時津両町を管轄。非常勤を含め職員4人が電話や来所・訪問相談に対応し、必要に応じて地域の社会資源や行政サービスにつないだり、申請手続きに付き添ったりしている。
 23年度の延べ対応件数は一般相談と児相からの指導受託合わせ3543件(前年度比961件増)。一般相談1775件のうち、最も多いのが保護者の養育に関する「養護」の860件(うち虐待61件)。「不登校」574件、子どもの発達に関する「性格行動」305件と続く。
 0歳から18歳までの子どもがいる家庭が対象だが、髙比良さんは行政サービスが比較的充実した乳幼児期に比べ、学童期の相談支援充実の必要性を感じる。「子どもの居場所の中心となる学校現場だけで対応するのは難しい」。不登校に関する相談支援を続ける中、20年7月、独自に始めたのが「どがんあっと?」だった。
 6月で「びぃどろ」開設から5年。「粘り強く関わらないとなかなか関係が築けず、支援が届かない相談者も多い」と感じる髙比良さん。「『行ってみようかな』と安心感を与えられるような場所になりたい」と子どもとその家族に寄り添い続ける。

◎ズーム/児童家庭支援センター

 児童福祉法に基づき児童に関する相談に応じる地域相談機関。県内には長崎、大村、島原の3市内にあり、佐世保市内にも本年度中に開設予定。「びぃどろ」の相談受付時間は日曜・祝日を除く午前10時〜午後6時(電095・893・5231)。