相続登記がされないまま放置された「所有者不明土地」問題の解消を図るため、相続した土地の所有権を手放し国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」が昨年4月に始まり、今年4月末までの1年間で全国の法務局に2030件(速報値、うち長崎県76)の申請があった。処理期間の目安として8カ月かかることなどから、帰属件数は341件(同5)にとどまった。
 法務省の統計や長崎地方法務局によると、全国の申請件数の地目別内訳は▽田・畑771(同15)▽宅地744(同46)▽山林298(同9)▽その他217(同6)−。使用予定がなく、買い手が見つからないことなどが背景にある。
 申請に対し却下が8件、不承認は12件。却下は境界が明らかでない土地など、不承認は更地であることなどの申請条件を満たしていなかった。本県はいずれもなし。取り下げは237件(同2)。
 承認された場合、草刈りなど管理に要する10年分の費用相当額に当たる負担金の納付が必要。負担金は20万円が基本だが、土地の区分と面積により決まる。申請に当たっては、土地1筆当たり1万4千円の審査手数料が必要になる。
 長崎地方法務局は「申請後に取り下げても手数料は返金されないので申請前に相談を」とする。同法務局(電095・826・8127)。