立石(りっせき)、得体のしれないマウンド(塚)、地上に描かれた線。古代文明は、その存在の痕跡を残して滅びた。当時の人々にとっては深い意味があったに違いないこのような遺跡に込められた思いを、現代の私たちが知ることは難しい。その後の地球に生きる私たちは、「誰が? 正体は? いつ? なぜ?」と思いを巡らせるしかない。

 考古学者たちは、こうした重要な意味がありそうな遺跡の調査を進めてきたが、いまだにその謎が解明されていないものもある。ここではその一部を紹介しよう。

イースター島の石像と文字に秘められた謎とは?

 イースター島(現地語では「ラパヌイ」)は、地球上で最も隔絶された有人島のひとつだ。1000年以上前、この島の住民たちは数十トンもある一枚岩を加工して、数百体のモアイ像を作った。これらは300年ほど前に発見されて以来、考古学者たちを魅了してきた。

 人々は手工具を用い、主に火山性凝灰岩からモアイを彫りだして、何らかの方法で石の祭壇まで運んだ。その目的は何だったのか。どのようにして石像を移動させたのだろうか。

 この島には、「石像が歩いた」という伝承がある。モアイは知られざる文明または宇宙人が移動させたに違いない、と主張した作家たちもいた。もっと学術的な観点から、台に乗せて運んだという説もあった。

 島の人々の「モアイ像は歩いた」という言い伝えが正しかった可能性が、近年、考古学者たちによって示された。ロープを使い、数十人で底面のカーブに沿ってモアイ像を左右に揺らすと、石像は前に「歩く」ことができるのだ。

 ヨーロッパの探検家たちが島にやってきた頃には、モアイ像の多くが倒れており、モアイ像を作った目的も島の伝承から消えていた。モアイ像は、対立するグループ間の権力の象徴だったのかもしれない。あるいは、平和な宗教的意図があったのかもしれない。

 この島で発見された木や石の文字板も謎だ。こうした文字板にはロンゴロンゴ文字が書かれているが、解読できていない。この不思議な象形文字は左から右に読み、次の行は板を上下逆さまにして読む作りになっている。モアイ像とおなじく、この文字の謎も解明できないままだ。

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