79年前、長崎市に投下された原子爆弾の開発計画を指揮した物理学者オッペンハイマーの生涯を描いた映画のトークイベントにジャパネットたかたの創業者、高田明さんが登壇しました。
※高田明さんの高の漢字は髙(はしごたか)

NBC

映画「オッペンハイマー」の公開を記念して開かれたトークイベントは14日、長崎市の映画館で行われ、2才の時に被爆し 被爆医療の研究を続けてきた医師、朝長万左男さんとジャパネットたかたの創業者、高田明さんの2人が登壇しました。

高田さんは映画を鑑賞したばかりの観客を前に、冒頭「今日、この場所に座っていいのかすごく悩んだ。普通だったらテレビ50時間でもしゃべれるのに、きょうは言葉が出るだろうかと思っている」と、被爆者らと共に平和活動をしてきていない立場で映画について話す葛藤を述べたほか「中学校の時の女性の先生が原爆に遭い、顔にあざが残っていた。おじも三菱で働いていて原爆手帳を持っていた」と話し、平戸市で生まれ育つ中、被爆者を身近に感じてきたことにも触れました。

高田さんは「映画を見て一番思った事」として「太平洋戦争は日本の真珠湾攻撃がきっかけで始まった。アメリカ人にしてみたら我々が犠牲者じゃないか──となる。イスラエル、パレスチナ問題と同じ。攻められたから仕返しするという考え方が今もつながっている。

アメリカでは被爆の惨状を展示することが許されない現実がある中で、原爆という人類を滅ぼすものについて世界に発信する映画が作られた。朝長先生達の活動と同じように(平和を)後押しするすごくありがたい映画だと思う。この映画を契機に世界に平和が来てくれたらと切に願う」と話しました。

また「映画を作る時、アメリカでは軍人の反対に気を配ったり、日本では真珠湾のことは言わないようにしようなど色んな背景に気を配って作っていくと思う。でも自分たちがやってきた《反省すべき所》と《こうあるべきだ》というところを胸襟を開いて互いに伝え合う形に変えていかないと永久に平和は来ないと思う」と述べ、立場を超えた対話の重要性に触れ、特に若者が核兵器や平和問題に興味をもつことの大切さを訴えました。

「オッペンハイマー」
クリストファー・ノーラン監督の最新作で世界の運命を握った天才科学者の実話に基づく物語。
第96回アカデミー賞《作品賞》含む最多7部門を受賞している。