最後の営業です。長野県塩尻市の名物ドライブインが無期限の休業に入りました。4月28日が営業最終日。多くの客に惜しまれながら、60年の歴史に一区切りをつけました。

■休業前、最後の営業

オムライスを運ぶ佐藤秀美さん

食堂S・S・佐藤秀美さん:
「はい、おまたせしましたー。オムライスです。こんばんは」

定食を撮影

にぎわう店内。多くの客がメニューの写真をパチリ。

名残惜しそうに味わいます。

木曽町から:
「もう食べられなくなると思うと、ちょっとさみしいです」

「食堂S・S 木曽本店」

国道19号線沿いにある「食堂S・S 木曽本店」。

4月28日、休業前最後の営業を迎えました。

「再開、待ってます」

客:
「再開、待ってます、心待ちにしています」

食堂S・S・佐藤秀美さん:
「ありがとうございます。頑張ります」

食堂S・S・佐藤秀美さん:
「どうしましょう。だんだんと切なくなってきます」

■開業1964年 人気は「さば煮」

昭和の時代

開業は1964年・昭和39年。

「S・S」は初代社長・佐藤進さんのイニシャルです。

150種類以上ものメニュー

150種類以上ものメニューの中で特に人気なのが「さば煮」。

二度煮込んで味を染み込ませています。

人気の「さば煮」

さば煮を食べた客:
「うまいっすね」

■閉店ではなく「休業」

トラックの運転手や住民に親しまれてきた

60年に渡って、トラックの運転手や住民に親しまれてきましたが、スタッフの高齢化から無期限の休業を決めました。

食堂S・S 店主・佐藤秀喜さん

食堂S・S 店主・佐藤秀喜さん:
「もうちょっと続けてできるところまでやりたかったんですけれども、従業員の限界が来てしまって」

「閉店」ではなく「休業」。

建物は残しておき「後継者」が現れることを願っています。

■最後に好きなメニューを 

2日連続で来店した客は、「さば煮」を

迎えた最後の営業日。

こちらは岡谷市の親子。2日連続の来店です。

岡谷市から:
「慣れた所がなくなるっていうのは寂しいけど、まあ、始まってくれればいいけど。どうでも最後だもんで、サバの煮たの食べなければいけない」

名物の「さば煮」を最後に味わいます。

スタッフを労う

岡谷市から:
「ありがとうございました。お世話になりました」

長年、厨房で働くスタッフを労います。

この日2度目の来店で、好物の「鍋焼きうどん」を注文

スタッフ:
「きょう2回目にお目にかかりますね」

男性はこの日2度目の来店で「鍋焼きうどん」を注文。最後のメニューは好物の鍋焼きうどんと焼肉です。

28日に2度来店した男性:
「いただきます。おいしいです。さみしいだけですね、これが食べられなくなるってことは」

■温かいメッセージ

客から花束を渡される佐藤秀美さん

花を届けに来た人もー。

食堂S・S ・佐藤秀美さん:
「こういうの見ると切なくなるんですよね。こんなにしてもらって、どうしよう(涙)」

食堂S・S 店主・佐藤秀喜さん

食堂S・S 店主・佐藤秀喜さん:
「早く再開して、また皆さんの、思いに応えなきゃだめなんだよ。そういうメッセージだよ」

■旧車の愛好家グループも

安曇野市から来た旧車の愛好家グループ

安曇野市から:
「S・S食堂と同い年の車なんです」

残り1時間を切った頃、やってきたのは旧車の愛好家グループ。

安曇野市から:
「木曽路を通るときは、朝寄って、用事済ませて帰りも寄って、朝と夜」

必ず納豆汁を注文する男性

いつものメニューを味わいます。

安曇野市から:
「ここに来ると豚汁じゃなくて、納豆汁一択。絶対なんですよ。(味は?)最高」

旧車の愛好家たちも花束を

「ささやかながら」

旧車の愛好家たちも花束を―。

安曇野市から:
「60年間、おつかれさまでした」

■「一日も早く再開を」

佐藤秀喜さんと妻の秀美さん

食堂S・S 店主・佐藤秀喜さん:
「いまだに実感はわかないですね。まだ明日、またここに来ちゃいそうな。頑張ってきてよかったなって、そういう思いです。もう一つね、私のいつも傍らにいて、人一倍努力し頑張ってきた妻にも感謝したいと思います。本当に、ありがとな、ご苦労さま」

妻の秀美さん

食堂S・S・佐藤秀美さん:
「(涙)ありがとうございました。皆さまのおかげで、きょうまで頑張ってこられた…」

記念撮影

常連客のリクエストで最後は店の前で記念撮影。

食堂S・S 店主・佐藤秀喜さん:
「早くに4代目を探して指導して、一日も早く、お客さまの笑顔を見たいなって思います」

記念撮影

客:
「みんなで『いらっしゃいませ』って言ってくださいよ」

スタッフ:
「いらっしゃいませー」