オールドファンには馴染み深い「ヤマニン軍団」が12年ぶりのJRA重賞制覇を目指し、エプソムカップ(3歳上・GIII・芝1800m)にヤマニンサルバム(牡4、栗東・中村直也厩舎)とヤマニンサンパ(牡5、栗東・斉藤崇史厩舎)の2頭出しで挑む。

 オーナーブリーダーである錦岡牧場の生産馬は「ヤマニン」の冠号で知られ、昭和の時代から多くの活躍馬を送り出してきた。72年にヤマニンウエーブが天皇賞(秋)を制し、8大競走を初制覇。その後もヤマニンゼファー、ヤマニンシュクルなどのGI馬を輩出している。近年ではヤマニンアンプリメが19年JBCレディスクラシックなどダートグレード競走を3勝。しかしながら、JRAの重賞勝利は11年シリウスSのヤマニンキングリーが最後となっている。

 12年ぶりのタイトルを目指し、エプソムCは豪華2頭出しだ。ヤマニンサルバムはここ2戦が重賞で7着だが、ともに敗因はハッキリ。金鯱賞は前に壁をつくれなかったことで力み、直線でガス欠。続く新潟大賞典は極端な道悪が全てだった。良馬場でうまく折り合って運べれば、重賞でも好勝負になっていい。

 もう1頭のヤマニンサンパは約11カ月ぶりの実戦となる点がカギだが、昨年のエプソムCでは0秒5差の7着に健闘している。前走の関越Sも故障馬の影響を受ける不利がありながら、ゴール前で脚を使って0秒5差の8着だから、着順ほど悪い内容ではなかった。仕上がり次第で出番があっていいだろう。ちなみに2頭の曾祖母は米G1オークリーフSを制し、錦岡牧場の基礎繁殖牝馬の1頭となっているワンオブアクライン。他にもヤマニンマヒアやヤマニンペダラーダが現役で活躍している活気ある一族だ。

 ともに上位人気とはいかないだろうが、ヤマニン軍団は人気薄での一発が多い印象あり。多くのファンに親しまれる「水色、袖赤三本輪」の勝負服が先頭でゴールを駆け抜け、“名門ここにあり!”を見せつけることを期待したい。