約半年ぶり、通算3度目の無念である。

 元大関の朝乃山(30)が昨25日の木更津巡業で負傷。右膝の靭帯を痛め、全治3週間という。

 昨年8月の夏巡業で右足の親指を痛め、10月の秋巡業では左ふくらはぎを故障。そして今回と、巡業だけで3回もケガをしている。

 もちろん、相撲にケガは付きもの。年齢も30歳と、若い頃に比べて負傷しやすくなっているのも事実だろう。巡業以外でも、昨年から左上腕の筋肉部分断裂、左ふくらはぎの負傷、右足関節捻挫とケガのオンパレード。この1年間で本場所を3度、途中休場をしている。

 親方のひとりは「故障箇所をかばって、別の部位に負担がかかっていることもあるかもしれないが……」と、こう続ける。

「巡業に限れば、本人がどこまで意識して準備運動をしていたかも気がかりです。普段、部屋で稽古をしている分には何事も自分のペースで出来るが、巡業は勝手が違う。参加する力士数も多いので、土俵に上がって悠長に準備している暇はありませんからね。ただ、朝乃山が巡業でよくケガをするようになったのは、不祥事から復帰して以降。あせって無茶な体の使い方をしているのかもしれない」

 2021年、当時大関だった朝乃山は、協会が定めた新型コロナの感染対策ガイドラインに違反し、6場所連続謹慎処分を食らった。これにより、大関から陥落。八角理事長(元横綱北勝海)からは、「大関復帰ではなく、横綱に昇進して初めて禊になる」とハッパをかけられた。

 前頭筆頭の先場所は9勝6敗。5月場所は大関陥落後は初となる三役返り咲きが濃厚と言われていた。三役昇進で、まずは大関復帰の足がかり……と思った矢先に、今回のケガである。

 右四つに組んでからの技術は、あの白鵬からも評価されていた朝乃山。理事長が期待する「禊」にも暗雲である。

  ◇  ◇  ◇

 朝乃山が3年前に「6場所連続謹慎」という重い処罰を受けたのは、単にコロナ感染ガイドラインに違反したからだけではない。ルールを破った揚げ句、それをごまかそうとウソまでついたことがアダとなったのだ。

 関連記事【もっと読む】…では、ことの顛末を詳細に報じている。