SHOPLINE Japanは5⽉16⽇、アジアを中心に世界60万店舗以上が利用するECサイト構築サービス「SHOPLINE(ショップライン)」が日本に本格進出したと発表した。「SHOPLINE」は台湾でECサイト構築サービスとしてはトップクラスの実績を誇る。ライブコマースや越境ECなどの機能に強みがある。

導入コストが低く、アプリストアから手軽に機能追加できる点も特徴だ。ECサイトだけではなく、スマホアプリの構築やPOSレジ機能も用意している。ファッションやコスメなどのD2Cブランド、実店舗を持つ中小企業、越境ECを始めたい事業者などにサービスを訴求し、日本における導入店舗の拡大を図る。




<世界14都市に拠点、アジア中心に欧米にも進出>
SHOPLINEは2013年に香港で設立し、台湾や中国、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイなどアジアでサービスを拡大してきた。2022年以降にイギリスやアメリカ、オーストラリアといった欧米圏にも進出し、2024年に日本に本格進出を果たした。現在、世界14都市に拠点があり、本社はシンガポールにある。

進出している国・地域ごとにカントリーマネージャーを置き、その地域の市場に合わせた戦略のもと、サービスを強化している。特に台湾では、大手ECモールを除くと、ECプラットフォームとして最大級のシェアを誇る。

SHOPLINE Japanの大山廣貴ゼネラルマネージャーは、「アジアを中心に発展してきた『SHOPLINE』は近年、アジア以外にも進出しており、日本にも以前から進出したいと考えていた。日本はすばらしいブランドが多く、EC化率が上がってきたとはいえ、まだ9%台ということでポテンシャルは大きい。自然な流れで日本でもサービスを本格提供させていただく形になった。しっかりと腰を据え、長期的に日本市場の中でサービスを広めていけたらと考えている」と語る。


<ノーコードでECサイトやスマホアプリを構築可能>
「SHOPLINE」はECサイトをノーコードで手軽に構築できる。テンプレートを選び、ドラッグアンドドロップでコンテンツを配置してサイトデザインを編集することも可能だ。アンケートに回答するだけでサイトデザインが完成する機能もある。商品の紹介文をAIで自動作成することもできるという。



「オンラインストアだけでなく、スマホアプリもノーコードで構築できる。ECサイト構築サービスと連携した形でスマホアプリまでノーコードでワンストップにて構築できるサービスはあまり他にはないと思う。スマホアプリの構築機能の費用は要相談としているが、非常に競争力の高い費用感をご提示できると思う。さらにPOSレジ機能も提供しており、管理画面上でオンラインもオフラインも、ウェブもアプリもすべてのデータをまとめて管理することが可能だ。一元管理したデータを基に、豊富な機能を用いてさまざまな施策を実施できる」(大山ゼネラルマネージャー)と話す。



豊富な標準機能に加えて、アプリストア「SHOPLINE App Store」を通して、機能(アプリ)を追加できる。外部パートナーが提供するアプリもあるが、約8割はSHOPLINEが提供する自社アプリとなっており、それらは無料で利用できる。


<衝撃のライブコマース機能>
特に特徴的な機能がソーシャルコマース(ライブコマース)機能だという。連携しているインスタグラムやフェイスブックでライブ配信を⾏い、スムーズにECサイトでの商品購入につなげることが可能だ。

「個人的に『SHOPLINE』の機能で一番衝撃を受けたのがライブコマース機能だ。例えばライブコマース中に、事前に設定した特定のキーワードを視聴者がコメントすると、配信しているSNSのメッセンジャーに『商品をカゴに追加しました』というような連絡がきて、そこのURLをクリックすると、ECサイトに飛び、カートにその商品が入った状態となり、スムーズに購入手続きができる。会員登録しているユーザーであれば、購入者情報も自動で反映できるので、すぐに購入を完了することが可能だ。中国や台湾のライブコマースでは同様の機能が普及しており、例えばライブコマース中に『1』と入れると視聴者はすぐに商品購入に進めるため、コメント欄に『1』がズラーっと並ぶ様子を見ることができる。日本でもこのようなライブコマース体験を広めていきたい」(同)と話す。



ライブコマースだけではなく、SNS上で特定のURLを配信し、そこをクリックするとECサイトに遷移し、カートに商品が入った状態から購入手続きができる機能もある。

インフルエンサーなどを活用したアンバサダーマーケティングの機能も充実している。連携しているアンバサダーに商品購入用のURLを共有し、アンバサダーがSNSを通して発信すると、自動的にクーポンを付与したり、設定した手数料の清算・支払処理が手軽にできたり、アンバサダーごとの流入や売り上げを分析できたりするという。




<越境ECやマーケティング機能も充実>
越境ECのための多⾔語、多通貨対応の機能もある。商品別に発送可能な国と地域を設定し、国・地域別の消費税も設定可能だ。グローバルな価格設定と通貨対応を実現し、多⾔語SEO(検索エンジン最適化)機能を利⽤することで越境ECに適したサイト作りを実現できるという。

「越境ECにおいて、アジアを中心に海外拠点があるため、現地のトラブル対応などの知見を共有できる。日本語対応するカスタマーサクセスのメンバーが日本や時差1時間以内の海外にいるため、越境ECなどサイト運営でお困りの場合は、比較的、迅速にお答えできると思う」(同)と話す。

メルマガ作成やセグメント配信、シナリオ設計が可能なメールマーケティングの機能を始め、SEOツールや商品フィード連携、ランディングページ(LP)作成、ウェブ接客、多チャネルの問い合わせ管理、会員管理システムなどのマーケティング機能も提供している。大半が無料で利用でき、一部は有料もしくは従量課金となっている。




<競争力の高い料金設定>
中⼩企業やスタートアップが導⼊しやすい利⽤プラン別の⾦額を設定している。「スターター」は月額4400円(年払いなら月額3625円)、商品販売時のサービス取引手数料が2%だ。「スターター」「エッセンシャル」「プレミアム」の3プランは月額料金とサービス取引手数料を徴収する。一方、中堅・大手向けの「エンタープライズ」では、月額料金またはサービス取引手数料のうち、料金が高い方の費用のみを徴収する。



上記の料金以外に提携している決済会社の手数料がかかる。グローバルでは独自の決済サービス「SHOPLINEペイメント」も提供しており、日本でも近い将来、提供する計画だ。

日本での導入目標については、「日本市場には学ぶべき競合他社がたくさんいらっしゃることは理解しており、現時点で数値の目標は立てていない。唯一、言える目標は、ご利用いただいた事業者さまの離脱を限りなくゼロにしたいということ。そのためには利用者さまの満足度を高いレベルで維持することが求められると考えている」(同)と話す。

⾃社ECサイトを開設したい事業者を⽀援するために、14⽇間の無料体験キャンペーンも提供している。「SHOPLINE」のユーザビリティや機能を体験してもらい、導入につなげたい考えだ。