『水深ゼロメートルから』　山下敦弘監督最新作、高校演劇リブートプロジェクト第2弾

【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね　第1177回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X（トーキョー シネマ クラウド エックス）」。

今回は、5月3日公開の『水深ゼロメートルから』と『青春18×2 君へと続く道』をご紹介します。

『 水深ゼロメートルから』一瞬の夏が、プールの底できらめく

2020年に公開され、スマッシュヒットを記録した『アルプススタンドのはしの方』に続く、高校演劇リブートプロジェクト第2弾として製作された、映画『水深ゼロメートルから』。

高校2年生の夏休み。特別補習として、水の入っていないプールの掃除を指示されたココロとクミ。
同級生で水泳部員のチヅル、そして水泳部の先輩ユイ。恋愛にメイク、人間関係。何気ない会話から、彼女たちが内包する悩みが浮き彫りになっていく青春群像劇です。

メガホンを取ったのは、『リンダ リンダ リンダ』をはじめ、数々の青春映画の傑作を手がけてきた山下敦弘監督。舞台演劇さながら、ほぼワンシチュエーションの会話劇。思春期ならではの悶々とした“何か”を抱えながら、意見を戦わせていく。そんな女子高生たちの姿をリアル、かつ鮮烈に描き出す手腕は、さすがの一言。フレッシュな俳優陣の熱演も必見です。

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『青春18×2 君へと続く道』ノスタルジックな日台合作ラブストーリー

台湾で話題となった紀行エッセイ「青春18×2 日本慢車流浪記」にインスパイアされた国際派俳優チャン・チェンが、映画化を企画。監督に抜擢されたのは、『余命10年』など数々の話題作を世に送り出してきた藤井道人監督。台湾にルーツを持つ藤井監督にとって、日台合作映画となった本作は、自身初の国際プロジェクトとなりました。

そんな『青春18×2 君へと続く道』が、ついに日本にて公開。18年前の台湾と現在の日本を舞台に、国境と時を超えた“初恋の記憶”がエモーショナルに描かれた一作です。

『青春18×2 君へと続く道』のあらすじ

18年前の台湾。高校生のジミーは、年上の日本人バックパッカーのアミと出会う。天真爛漫な彼女に心惹かれていくジミー。しかし突然、アミは帰国することになってしまう。意気消沈するジミーに、アミはある“約束”を提案するのだった。

そして、現在。人生につまづいて帰郷したジミーは、36歳になっていた。彼は実家で、あるものを見つける。それはかつて、アミから届いた絵ハガキ。

あの時の約束を果たそうと、ジミーは彼女が生まれ育った日本へと旅立つ……。

『青春18×2 君へと続く道』のみどころ

ジミーを演じたのは、大ヒットドラマ「時をかける愛」をきっかけにアジア全域でブレイクを果たしたシュー・グァンハン。18歳の高校生時代と36歳となった現代のジミーを見事に演じ分け、情感あふれる演技で観客を魅了します。

そしてジミーが恋心を抱くアミ役には、藤井道人作品には欠かせない存在で、監督自身も“ミューズ”と多大な信頼を寄せる清原果耶。明るい笑顔の中にも儚さが感じられる女性を瑞々しく演じています。

共演には道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木華、黒木瞳といった多彩な顔ぶれが集結。それぞれのキャラクターが、どのようにジミーと出会い、彼に影響を与えていくかにも注目です。

台湾と日本。それぞれの言葉や文化が溶け合いながら、青春時代の淡い恋心や大人になってからの喪失感が鮮やかに映し出された本作。ラブストーリーでありながらロードムービーとしても楽しめるので、映画を観た後はロケ地を巡る“聖地巡礼”に出かけたくなる人も多いのではないでしょうか。

旅を通じて、過去と向き合い、今を見つめる。移ろいゆく時の流れに身を任せながら、切なくも清らかな“初恋の記憶”に触れてみませんか？

＜作品情報＞

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連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者：八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/