和歌山県は2024年度、県内で空飛ぶクルマ(eVTOL、電動垂直離着陸機)運航を想定した実証運航を計画する。23年度内に県内の複数地点で離着陸場候補地を選定するとともに、実証用の運航ルートを設定し、実証運航の事業者を公募する。長い海岸線と、山間地が広がる和歌山県は、陸上移動の利便性が悪い。空飛ぶクルマの運航を広域観光や災害救助、物流などでの有効な移動手段として期待し、実用化を後押しする。

県は25日、空飛ぶクルマの運航実現に向けた「ロードマップ・アクションプラン」を公表した。25年大阪・関西万博開催までを導入期として運航環境の整備に取り組み、万博を機に、空飛ぶクルマの運航を県内への観光誘客促進につなげていく狙いを示した。将来、県南部の串本町に誘致を目指すロケット組立工場への部品搬送にも活用を視野に入れる。

離着陸場の候補地として、和歌山市の人工島「和歌山マリーナシティ」や白浜町の「旧南紀白浜空港滑走路」などを検討していく方針。実証時の運航ルートは「海沿いを飛ぶのが現実的」(岸本周平知事)とし、海上を基本とする考えだ。

県は2月に、空飛ぶクルマのコンサルティングサービスや離発着場の建設を手がける長大と連携協定を締結。同社のアドバイスを得ながら、運航環境の整備に取り組んでいく。


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