世界有数の規模を誇る自動車の展示会「北京モーターショー2024」が25日開幕した。日系自動車メーカーは市場ニーズに合わせて、電動化と知能化をアピールする。世界の主要市場である中国市場は、急速な電動化の進展など変化が激しく、競争は熾烈(しれつ)だ。中国現地メーカーの勢いも増す中、展示会を反転の契機としたい考えだ。

トヨタ自動車は電気自動車(EV)「bZシリーズ」の新型車2モデルを世界初公開するほか、新型9代目「カムリ」や新型「プラド」などのハイブリッド車(HV)モデルを出展する。

次世代コンセプトカーを中国初披露するほか、ソフトウエアを更新することで車の価値を高める「ソフトウエア定義車両(SDV)」で多様な顧客ニーズを満たし、より便利で楽しいモビリティーを訴求する。自動運転スタートアップの小馬智行(ポニー・エーアイ)との協業の最新動向も紹介する。

ホンダが北京モーターショーで一般公開する燁(イエ)シリーズの「P7」

ホンダは中国市場に投入する新型EV「燁(イエ)シリーズ」の第1弾「P7」「S7」と第2弾「GT CONCEPT(ジーティーコンセプト)」の3モデルを一般公開する。

同シリーズは中国で新開発したEV専用プラットフォームの適用と電動化技術の融合により「操る喜び」を突き詰めた。人工知能(AI)によるサポートなどを通じ快適に移動できる空間を目指す。P7、S7は24年末以降、GT CONCEPTの量産モデルは25年内にそれぞれ発売を予定。27年までにシリーズで6機種を投入する予定だ。

日産自動車は中国市場のニーズに合わせて開発した新エネルギー車(NEV)のコンセプトカーを複数出展する。全固体電池や電動駆動4輪制御技術「e―4ORCE(イーフォース)」など革新的な技術を採用した次世代EVスポーツコンセプト「ニッサン ハイパーフォース」を中国で初公開する。

またEVの国際レース「フォーミュラE」で使用されている第3世代マシン「Gen3」を中国で初披露。変化し続ける市場ニーズに迅速に応え、NEVの知見や現地でのパートナーシップを活用して中国での電動化と知能化を加速させる。

マツダは現地パートナーの長安マツダと開発する新型EVを初公開する可能性がある。以前から25年のバッテリーEV(BEV)専用車投入計画を公表していた。従来の複数パワートレーン(駆動装置)に対応できる車だけでなく、BEV専用車を用意することで現地ニーズに応えていく考えだ。また、詳細は明らかにしていないが、長安マツダがベールに覆われたセダンタイプの車のシルエットなど“ティーザー画像”を公開している。

国際エネルギー機関(IEA)の報告書によると、中国の24年のEV(プラグインハイブリッド車〈PHV〉を含む)販売台数は前年比約25%増の約1000万台に到達する見通しだ。

中国EV大手の比亜迪(BYD)は北京モーターショーに向けて高価格ブランド「方程豹(ファンチェンバオ)」でスポーツ多目的車(SUV)など新モデル3車種を発表。また中国スマートフォンメーカーの小米科技(シャオミ)は3月末に同社初のEV「SU7」を発売。24年は10万台強の納車を目指す。

一方、現地ではEVの価格競争も激化している。EV大手の米テスラは1―3月期の販売不振による在庫拡大などを理由に値下げを断行。中国現地メーカーの理想汽車も値下げで対抗した。IEAの報告書は23年に中国で販売されたEVの60%以上が内燃機関の同等車両よりも安価だったと指摘している。


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