北海道新幹線の整備を担う鉄道建設・運輸施設整備支援機構は8日、予定していた2030年度末の札幌延伸が困難になったと発表した。トンネル工事の難航が主な要因。数年程度延期される見通し。今後、国土交通省が有識者会議で工程を精査し、具体的な開業時期の目標を検討する。

機構の藤田耕三理事長は同日、国交省に斉藤鉄夫国交相を訪ね、現状を報告した。その後、記者団の取材に対し「具体的に次の開業時期の目標を示すことは技術的に困難だが、数年単位の遅れとなる」と述べた。国交相は「開業を待ち望む地元の大きな期待を踏まえ、一日も早い開業を目指してほしい」と求めたという。

北海道新幹線は、新青森―新函館北斗間(約149キロメートル)が16年3月に開業した。新函館北斗―札幌間(約212キロメートル)の延伸区間では約8割を占めるトンネルで工事が難航。機構によると、巨大な岩の塊が見つかったり、地質不良への対応が必要になったりして、一部で3―4年遅れている。これに加え、24年度から建設業の時間外労働に上限規制が適用された点も踏まえ、延期の判断に至った。