パナソニックホールディングス(HD)は車載電池の国内生産能力を2030年に23年比約2・5倍の30ギガワット時(ギガは10億)程度に拡大する。国内自動車メーカーへの供給を増やし、23年時点で1%以下にとどまる国内向けを30年に80%超まで高める。車載電池はパナソニックエナジーの住之江工場(大阪市住之江区)などで生産しており、省人化で生産性を向上する。自動車メーカーとの協議の中で、新工場の建設も検討する。

パナソニックエナジー住之江工場などの生産拠点では、設備メンテナンスに必要な人の数を減らすといった施策で、1人当たりの生産性を28年度に22年度比35%以上高める。和歌山工場(和歌山県紀の川市)でも24年上期に大容量電池「4680」の量産を始める。

海外では米カンザス州で24年度中に車載電池の新工場を稼働する計画で、車載電池の国内外の生産能力は30年度に計200ギガワット時にする方針。米テスラなど北米市場向けが大半とみられるが、総生産能力の15%が国内向けになる計算だ。国内の車メーカーでは既にSUBARU(スバル)やマツダと車載電池の供給で合意している。

量産に向けた技術開発では住之江工場の敷地内に、量産化を検証する「生産プロセス開発棟」を4月に完成。25年完成予定の西門真地区(大阪府門真市)の研究開発棟と合わせると、国内最大規模の電池開発拠点になる。

車載電池は中国勢などとの競争が激しいが、パナソニックHDの楠見雄規社長は「当社の電池に価値を見いだす顧客がいる。目指す車両の性能や特性において(競合他社の)電池でも良いということにはならない」と説明した。


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