乗用車メーカー8社が27日発表した5月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比1・5%減の204万5522台となり2カ月ぶりに前年同月を下回った。中国での価格競争激化や新エネルギー車(NEV)市場が拡大していることなどが影響した。今後、日本国内ではトヨタ自動車やマツダが認証不正により一部車種の出荷を停止した影響が懸念される。

各社の世界生産はトヨタとSUBARU(スバル)が4カ月連続の前年割れとなった。トヨタは日本や北米の生産が前年並みだったものの、中国は価格競争激化など厳しい市場環境が続き前年同月比21・7%減となった。スバルは国内のモデルチェンジのタイミングが影響した。

ホンダと三菱自動車は2カ月ぶりに減少。ホンダは米国でスポーツ多目的車(SUV)「CR―V」などの販売増加で前年超えとなったが、中国生産は同40・6%減だった。三菱自は軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」の国内生産が増加したが、タイで全体的に生産が減少したことが影響した。

ダイハツ工業はマレーシアの生産が増えたが、日本国内の軽自動車・登録車の生産減が響き、世界生産は9カ月連続の減少となった。

電気自動車(EV)を中心とする中国市場のNEVシフトを受け、2023年は三菱自の撤退やホンダの人員削減など事業再構築の動きが進んだ。24年6月には日産自動車の常州工場(江蘇省)が閉鎖され、今後も中国戦略を見直す動きが予想される。

一方、スズキの世界生産は5カ月連続で前年同月を上回った。国内では軽自動車「スペーシア」、小型車「スイフト」の新型車効果があり、輸出向けのスイフトの生産増も寄与した。海外ではインドがけん引。4月のマネサール工場(ハリヤナ州)の新ライン稼働による生産能力の増強や、小型SUV「フロンクス」などの生産増加が貢献した。

日産自動車の世界生産は微増ながら2カ月連続の増加。日米の生産は減少したが、中国、メキシコでのセダンタイプの伸長などにより前年並みとなった。