今、株価も不動産価格も平成バブル時代の水準に迫っている。大都市圏のみならず、一部地方ではすでに“バブル超え”を果たしている土地も。このお祭り騒ぎに乗らずしてどうする? 好況に沸く現場を訪れて、その乗り方を探った。
◆経済効果は10兆円以上!

「物件の供給がまったく追いついていない。工場周辺の賃料はここ2年で5割以上も上昇しているんです」

こう話すのは熊本の不動産会社で働く営業マン。「工場」とは、世界最大級の半導体メーカー・TSMCが熊本・菊陽町に造った半導体工場のこと。2月6日には第2工場の建設が発表されたが、その経済効果は10兆円を超えるともいわれている。県予算10年分を上回る経済効果&雇用増で熊本は今、空前の“半導体バブル”に沸いているのだ。

昨年末に完成した第1工場に赴くと、通勤時間には関係者のものと思しきクルマで工場周辺は大渋滞。道路沿いには中国語表記のものも含めた無数の立て看板が並んでいた。

「台湾の技術者が多数来日して働いているので、それを目当てに海外の不動産事業者などが広告を出してくれているんです。おかげさまで広告単価はここ1年で2割ほど上がりました」(広告関係者)

◆熊本市内の繁華街にも半導体バブルの余波が…

そのバブル効果は工場からクルマで30〜40分の距離にある熊本市内の繁華街にも表れている。キャバクラ店の店主は「TSMC関係者で売り上げは3〜4割かさ上げされている」と話すのだ。

◆TSMCがもたらす“賃上げ”効果

TSMCは岸田首相も手を焼いてきた“賃上げ”効果をもたらしている。

「工場を運営する子会社のJASMは事務職でも月給30万円以上。熊本の中小製造業の2倍近い水準です。食堂の調理師も時給3000円。そこで働く人にとっては嬉しい話でしょうが、同じ熊本で事業を営む者としては頭の痛い話。こっちも給料を上げないと人を確保できないんだから……」(JASMの出入り業者)

第2工場新設で今後、建設関係者で溢れること必至の熊本。半導体バブルは、まだ始まったばかりかもしれない。

取材・文/週刊SPA!編集部

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