タカラジェンヌを育成する宝塚音楽学校112期生の入学式が19日、兵庫県宝塚市の同校で行われ、競争率12倍から合格した40人が夢へ第1歩を踏み出した。

式典では中西達也校長が「芸事には厳しく、人には優しく、思いややりをもって接し、2年後には宝塚歌劇団に入団されることを期待しております」と式辞。卒業生が進む宝塚歌劇団理事長も兼任する村上浩爾理事長は祝辞を述べた。

村上理事長は、40人に「(合格は)1人でなし得たものではありません」と言い、保護者席へ向かって「ご家族の皆さまに支援、サポートいただきましたことを感謝します」と語りかけた。

続けて、新入生に「ふたつ伝えたいことがある」と言い及んだ。

「謙虚な気持ちを忘れることなきよう。皆さんは芸の長い入り口に立ったにすぎません。長く険しいと思いますが、仲間と切磋琢磨(せっさたくま)して、先輩、後輩、先生方を尊重しながら、リスペクトして接してほしい」

劇団では昨年秋に宙組団員が急死し、3月にハラスメントを認めて遺族側と和解。すでに、過重労働解消など、改革にも着手している。

村上理事長は「もうひとつ大事なことです。現在、歌劇団では、さまざまな改革をしております」とし「芸の伝承、舞台を安全に遂行するためのルールがありますが、中には、非合理的だったり、過剰な負担が生じているものもあります。そういったルールも残っていた」と、これまでの経緯を説明した。

それらを踏まえた上で「これからは時代に合ったルール、アップデート(を)していこうと取り組んでいます。歌劇団と音楽学校がしっかり連携しながら、そういう関係を構築していく決意を固めております」と、新入生へ呼びかけた。

式では、劇団代表として、雪組組長の奏乃はるとも祝辞を述べた。

40人は3月27日、受験者数480人から競争率12・0倍を突破し、合格。近年続く少子化の影響に加えて、昨年秋には卒業生が進む宝塚歌劇団の宙組団員が急死するなどし、競争率は今世紀最少だったが、それでも2桁を超える高い競争率を勝ち抜いて、夢へ続く門をくぐった。

40人は予科、本科と2年にわたり、声楽や日舞、洋舞などのダンス、演劇など技術に加えて、タカラジェンヌとしての心がけ、素養などを学び、2年後、26年春の入団を目指す。