「町長は辞職するのが相当だ」

 第三者委員会は町長のセクハラを認定し、辞職勧告を突き付けた。

 地方自治体の首長によるハラスメントが相次いで発覚している。「育休を1年取ったら殺すぞ」などと男性職員に発言していた愛知県東郷町の井俣憲治町長(57)に続き、隣県の岐阜県池田町でも、岡崎和夫町長(76)が複数の女性職員にセクハラを繰り返していたことが判明した。

 池田町の第三者委は24日、虚偽の弁明をした町長を「事実発見に非協力的態度を示した。言動を内省し、改善する態度が見受けられない」と非難し、調査報告書を町に提出した。

 第三者委は昨年10月から職員や元職員の男女計843人を対象にアンケートを実施。回答したのは475人で、回答率は56.3%だった。

■職員からあがった悲痛な叫び

 報告書によると、20年ほど前から女性職員15人が、町長に手や胸を触られたり、抱きつかれていた。そのうちの1人はズボンの上から直接陰部に触れられ、町長から「なんか思うか?」と尋ねられたという。

 報告書には<4日連続でCを町長室に呼び出し、手を握る行為に始まり、衣服の上から二の腕、太股を両手で揉むように触り、陰部を触るまでエスカレートされた>とある。Cと表記された女性が他の女性職員に相談したところ、町長室に呼ばれ、「済まんかった」と謝罪を受け、「誰にも言わんといてくれ」と口止めされたという。2人の間では示談が成立しているが町長は「示談したことはない」と否定している。

 アンケートには町長に対する職員の悲痛な叫びが、多数寄せられている。

<「職員は自分の女」という感覚でいるので、他の職員(町長のタイプな)も被害に遭っている><告発しようにも潰され、退職に追い込まれる><キスやプライベートゾーンにも触れる話は聞いている。ほとんどが町長室や人けのないところで行われている><入職して間もない女子職員は、町長室で町長の膝の上に乗せられていた><町長は騒がない相手を見極めてやっています><セクハラもだが、パワハラもひどい>

 岡崎町長は池田町の元職員。総務課長を含め、30年以上の勤務歴があり、町長に初当選した2003年以降、6期20年以上にわたって町政を担い、その影響力は絶大だった。

 調査にあたった第三者委委員長の幅隆彦弁護士がこう言う。

「町長は最終的な決定権だけでなく、ほぼ人事異動全般に関する権限を握り、独断で職員を異動させることも可能でした。被害者らは、誰かに相談して被害申告を町長に知られることで報復人事などの不利益を被るのではないか、批判するようなことを言えば、町長支持者から圧力をかけられるのではないかという不安があり、誰にも相談できなかったそうです。加えてセクハラ自体、なかなか口にしにくい性質のものです。職員の多くが町長に対して萎縮し、真実を語ることができない状態にありました」

 町長は「辞職相当を重く受け止める」として、きょう(25日)、議長に辞職願を提出する。よくもまぁ、20年以上もやりたい放題できたものだ。