「この方を私たち女性が(知事として)うまずして、何が女性でしょうか」

 静岡県知事選(26日投開票)で自民推薦候補の応援演説に立った際、同党の上川陽子外相(71)がこう発言したことに対し、SNS上で賛否を巡る大論争が今も続いている。

 上川氏は19日、「女性パワーで未来を変えるという私の真意と違う形で受け止められる可能性がある」として発言を撤回。岸田文雄首相(66=自民総裁)は同日、山形県酒田市で記者団に「発言を撤回したと報告を受けている。誤解を招く表現は避けるべきだ」と表明した一方、自民党の森山裕総務会長(79)は佐賀市で「女性を蔑視した意思は全くない」と問題視しない姿勢で、発言の受け止めについては党内でも見方が分かれ、波紋が広がった。

 上川発言に対し、ネット上では《マスゴミの言葉狩り》《言葉の切り取り。悪意が感じられる》と異論が出る一方、《いや、言葉狩りではない。ならば、知事を誕生させる、など別の表現があったはず》《発言の中には「男性は」などと触れる部分もある。明らかに女性の出産=生むを意識した発言だった》との意見もあり、真っ二つの展開となった。

■麻生氏は過去に「子どもを産まなかったほうが問題だ」と発言

 女性の出産に関する自民党国会議員の過去の失言はきりがない。

 裏金事件でも渦中の人となった森喜朗元首相(86)は党の少子化問題調査会の会長だった2003年6月、鹿児島市で開かれた討論会で、こう発言していた。

「言いにくいことだけど、少子化のいま議論だからいいますが、子どもをたくさんつくった女性が将来、国がご苦労さまでしたといって面倒をみるっちゅうのが本来の福祉です」

「子どもも一人もつくらない女性が、好き勝手とはいっちゃいかんけど、まさに自由を謳歌して楽しんで、年とって税金で面倒みなさいちゅうのは、本当はおかしい」

 2007年1月には、当時の柳沢伯夫厚労相(88)が島根県松江市で開かれた党県議の集会で、「機械って言っちゃ申し訳ないけど(略)15〜50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから」(いわゆる「女性は産む機械」発言)などと言い、山東昭子参院議員(82)は2017年11月の党役員連絡会で、「子どもを4人以上産んだ女性を厚労省で表彰してはどうか」と仰天発言。麻生太郎副総裁(83)も2019年2月に福岡県芦屋町で講演した際、少子高齢化問題に触れ、「今、年を取ったやつが悪いとか言っている変な野郎がいっぱいいるが、それは間違っている。子どもを産まなかったほうが問題だ」などと放言していた。

 いずれの発言も問題視され、その後、「発言の真意が伝わらなかった」「曲解された」として謝罪、撤回になるのだが、こうした経緯を振り返れば、今回の上川発言に対しても「党是」「ああ、またか」と受け止められるのも無理はないかもしれない。