いくら貯金を稼いでも、安心するにはまだ早いか。

 5月1日は楽天に敗れたものの、開幕から27試合で18勝7敗2分と好調をキープしているソフトバンク。4月終了時点で貯金12を作ったのは、南海時代の1955年以来、69年ぶりだ。

 2位日本ハムとは3.5ゲーム差。チーム打率.258、同防御率2.19、117得点、17本塁打はいずれもリーグトップと、攻守に渡って隙がない。

 では球団やナインが楽勝ムードかというと、そうでもない。彼らの脳裏に深く刻まれているのが、昨季のトラウマだ。

 3年ぶりのV奪還を懸けて臨んだ昨季は夏場まで、オリックス、ロッテと三つ巴の接戦を繰り広げていた。そんな中、首位だった7月7日からまさかの12連敗。15あった貯金は3に減り、3位転落でオリックスに首位を奪われた挙げ句、8ゲーム差に引き離された。結局、最後まで首位に返り咲くことは叶わず、3年連続V逸となった。

 ケガ人も多く、投打ともに壊滅的だった昨季に比べ、今季はここまでは順調そのもの。特に規定投球回数に達した先発がゼロだった昨季に比べ、現在は先発転向1年目の大津やモイネロをはじめ、有原、スチュワートジュニア、大関、東浜と先発の駒が揃っている。ただ心配なのが、開幕から3、4、5番を打ち、活躍している柳田(35)、山川(32)、近藤(30)の3人のカラダだ。

「柳田はこれまで毎年のように故障離脱を繰り返していたが、昨季は2014年以来、9年ぶりに全試合に出場。だからこそ、反動が怖い。近藤も腰にバクダンを抱えており、山川も過去に何度も右足を負傷している。しかも、女性問題で逆風が吹く中のFA移籍とあって、今春のキャンプでは例年以上に張り切っており、周囲からも『飛ばし過ぎじゃないか』と心配されていたほど。小久保監督は彼らクリーンナップ3人衆を適宜、DHで出場させて負担軽減を図っているものの、それでも1年間通して全員が揃って働けるかどうか……」(球団OB)

 4月の快進撃はこの中軸トリオの活躍があってこそ。いつアクシデントが起きてもいいように、貯金は作れるうちに作っておくに越したことはない。