2日開幕の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」(茨城GC東C=6665ヤード・パー72)は、国内ツアーに4つある公式競技(メジャー大会)の1つ。先週行われたシニアのレジェンズツアーに優勝した永久シードの不動裕理(47)が勝てば、史上初のメジャー4冠、つまり国内グランドスラム達成となるのだが、国内通算50勝、2000年から6年連続賞金女王のレジェンドも47歳。今季もレギュラーツアー3試合に出場し、すべて予選落ちしているように、優勝争いは夢物語だろう。

 国内の4冠は前例がないものの、3冠は不動を含めて、大迫たつ子、森口祐子、涂阿玉、肥後かおり、テレサ・ルー、申ジエ、塩谷育代、福嶋晃子、諸見里しのぶの10人が達成している。

 今回、テレサ(36)も4冠に挑むが、今季は2試合に出場し、いずれも予選敗退。現在妊娠中で、実戦から遠ざかっていたこともあり、偉業達成は厳しいだろう。

 一方、多くの「レジェンド」が名を連ねる3冠取りを狙うのが原英莉花(25)だ。原は20年に日本女子オープンとツアーチャンピオンシップを制覇。昨年は2度目の女子オープン優勝を果たした。

 残る2冠は日本女子プロ選手権と今大会。今週勝てば4冠に王手がかかる。

 だが、今季の原は7試合で予選落ち3回、最高位はKKT杯バンテリン女子の22位と不振に苦しんでいる。

「正直、最近は優勝を争う雰囲気がまったくありませんが・・・」とツアー関係者がこう続ける。

「原は昨年5月に内視鏡によるヘルニア摘出術を受けて、3か月後の復帰戦は56位。その後の6試合でべスト10入りはニトリの9位のみ。まさか2度目の女子オープン制覇をやってのけるとは予想もできず、国内最高峰の大会で優勝候補に名前が挙がらなかったのは当然でした。それでも本番では、左右の端に切られた難しいピン位置にも関わらず、ベテラン菊地(絵理香.35)との一騎打ちを制した。まさに大穴の優勝でした」

 2度目の女子オープン制覇に師匠のジャンボ尾崎も驚いた。

「原の優勝報告にジャンボは『今日からエリカを尊敬することにした。お前じゃない方のな』と言ったそうだが、このジョークは、最後まで食らいついた
菊地の粘りを称えるだけでなく、『あいつはゴルフ以外でいつも主役』と皮肉っていた弟子の大舞台での強さを改めて認めたジャンボ流の褒め方でしょう」(前出・関係者)

 原はゴルフに関してはやや淡白なところがあるものの、スイッチが入ったときの集中力は別格。通算5勝のうち3勝が公式競技だ。

 ちなみに今大会の会場は、かつて男子ツアーのキリンオープンが開催されていた。尾崎は苦手な西コースとは対照的に東コースでは4度勝っている。今年は3年ぶりに東コースが舞台。原が好位置で決勝ラウンドへ進めば師匠から貴重なアドバイスが届くかもしれない。