東京都の小池百合子知事は30日、都庁で報道陣の取材に応じ、28日投開票の東京15区補選で、自らが出馬を打診し前面に立って応援した作家の乙武洋匡氏(48)が落選したことについて、初めて言及した。

都庁登庁時、補選結果の受け止めを問われた小池氏は「結果は本当に残念なものになってしまいました」とした上で「まず、選挙戦そのものが想定できないような大音声や妨害などで、本当なら乙武さんだからこそ言えるインクルーシブ、包摂的な政策や話をもっとお伝えしたかったが、それもできないままで、とても残念だった」と述べた。乙武氏や自身の街頭演説中に、つばさの党の関係者や候補者による妨害行為が続いたことに触れた。

敗因については「私自身、乙武さんになんとか勝ってほしいと思ったので、応援をした。街にかなり繰り出して、その反応は大変よかった」と述べ、12日間の選挙期間中9日、応援に入った際の有権者の反応は悪くなかったと強調した。一方で、乙武氏同様に小池氏自身が擁立に関わり、自民、公明、都民ファーストの会、国民民主党の4党が推薦し、大久保朋果氏の初当選につなげた昨年12月の出直し東京・江東区長選に言及。「大久保さんの区長選とほぼ同様の反応を体感できたが、残念ながらそれが票につながってはいなかったということだと思う。(有権者の反応の)票へのつなげ方に多くの反省点がある。これからさまざま検証したい」と振り返った。

当初は見込まれた自民、公明両党との連携が、今回はできなかったことについて問われると「それも含め、振り返って課題を検証したい」と述べた。今月8日の出馬会見の際、乙武氏が自民の推薦について「おそらく逆風になる」と発言したこともあり、自民は推薦を見送った。小池氏は「多くの方にお世話になった。感謝申し上げたい」とも口にした。

小池氏は28日夜に選挙結果が出た後、乙武氏が選挙事務所で敗戦の弁を述べた際に、事務所に姿をみせていなかった。

東京15区補選は立憲民主党の酒井菜摘氏(37)が乙武氏ら8人をやぶり初当選した。乙武氏の票数は9人中5番目と、伸び悩んだ。