【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)3日(日本時間4日)=斎藤庸裕、久保賢吾】ドジャース大谷翔平投手(29)が、今季初のサヨナラ勝ちに貢献した。

1日(同2日)ダイヤモンドバックス戦で休養による今季初欠場を経て、ブレーブス戦に「2番DH」で出場。3打数1安打で今季初の1試合2盗塁をマークした。1点を追う延長10回1死二塁、エンゼルス時代の元同僚でブ軍の守護神イグレシアスから土壇場で同点打を放ち、延長11回のサヨナラ勝ちにつなげた。ナ・リーグ東地区の強豪を相手に、本拠地3連戦のシリーズで先勝した。

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大谷が一枚上手だった。1点を追う延長10回1死二塁。試合前までセーブ成功率89%の絶対的守護神イグレシアスとの勝負。カウント1−2から外角低めのボールゾーンへ沈んだチェンジアップに食らいつく。体勢を崩されるも右手1本で中堅へ運び、土壇場で同点の適時打。一塁ベース上で「カモーン!」と叫び、腕を振り上げてチームを鼓舞。流れをつかみ、11回のサヨナラ勝ちにつなげた。

4球の心理戦だった。ブ軍バッテリーは全球、外角チェンジアップを選択。現状の大谷に対しては高めや内角の速球で打ち取る攻めが多いが、裏をかいた。捕手トロンプは配球の意図を「彼のスイングを見て、自分の勘ではこれがベストだと思った」と明かした。1球目、チェンジアップを空振り。これが伏線となったが、打席間で大谷が修正し、駆け引きで勝った。ロバーツ監督は「大きかった。感情も出ていた」と称賛。価値ある1本となった。

プレーオフ進出すれば、ライバルとして立ちはだかるかもしれない強豪との3連戦。緊迫した投手戦が続く中、大谷は足でも試合を動かした。3回2死一塁から二盗に成功。4番スミスの適時打につなげた。8回2死一塁からは盗塁スタートを切り、けん制球で飛び出すも、素早い動きで二塁へ投げようと試みた一塁手オルソンの落球を誘った。四球で出塁させれば、得点圏まで進められる。大谷の足のプレッシャーも、確実にブ軍を追い詰めていた。

アグレッシブな走塁で、ユニホームは左臀部(でんぶ)と左膝付近が破れ、穴が開いた。ド軍の野球は本塁打や長打だけではない。1番ベッツ、2番大谷の足を生かし、1点を取りに行く緻密さもある。ロバーツ監督は「多くのファンが詰めかけて、とてもいい戦いになった。今夜はたくさんいいことがあり、楽しい野球だった」とうなずいた。打って、走って、大谷のハッスルプレーが光った。