第71回春季高校野球静岡県大会が、20日に開幕する。

上位2校に与えられる東海切符へ、今大会から16枠に増えた夏のシード権を懸けた戦いに39校が出場。16日には組み合わせ抽選会が行われ、対戦カードが決まった。磐田東は、今春選抜優勝の高崎健康福祉大高崎(群馬)で副部長を務めた赤堀佳敬氏(31)が、今月7日に監督に就任。静岡学園と対する21日の2回戦で初陣に臨む。

◇  ◇  ◇   

就任から、わずか2週間で公式戦初采配を迎える。当然、準備は万全ではない。それでも赤堀新監督は、勝利のために全力でタクトを振るう。「3年生にとっては、この春もその先の夏も1つ1つが最後になる。自分のスタートなんて言ってられない。できる限りの準備をして、何とか勝たせてあげたい」。

偉大な背中を追い、初の監督業に励む。17年から盛岡大付(岩手)の関口清治監督、19年からは高崎健康福祉大高崎の青柳博文監督の下でコーチを務め、計6度甲子園に出場。今春センバツでは日本一も経験した。「共通しているのが、選手の長所を伸ばすことにたけていること。2人がいなければ今の自分はない。目標にして、追いつきたい」。師と語る2人に学んだ日々を指導の根幹に置く。

就任直前の4月5日。親交のある元ヤクルト宮本慎也氏と食事をした際、1枚の色紙を贈られた。記された言葉は「失敗を恐れず挑戦あるのみ」。赤堀監督は「監督就任の話を受けた時にも相談をさせてもらい、『監督になれる機会はそうあるわけじゃない。チャンスだよ』と背中を押してもらった。いただいた言葉を大事にして頑張っていきたい」と胸に刻んだ。

目標は春夏通じて初の甲子園。その第1歩となる初陣の相手は、静岡学園に決まった。「相手ではなく、短い期間の中でもやってきたことを出せるように。まずは夏のシード権を取る。1試合でも多く経験して収穫の多い大会にしたい」と、目前に迫った本番を見据えた31歳の若き指揮官。新たな教え子たちとともに挑む戦いが、始まる。【前田和哉】

◆赤堀佳敬(あかほり・よしのり)1993年(平5)4月1日、三島市生まれ。伊豆中央高から中京大と進み、内野手としてプレー。卒業後は保健体育教諭として磐田南に赴任。17年から盛岡大付、19年から高崎健康福祉大高崎で副部長を務め、主に打撃を指導。父の真也氏(55)は天竜高監督。右投げ左打ち。独身。

○…ナインも決意を新たに初戦に備えている。扇の要・原啓與捕手(3年)は「新監督になって、みんなが気持ち高く取り組めている」と話す。今大会チームは、これまで予選3試合で30得点3失点と攻守がかみ合い全勝。上位校決定戦では、プロ注目右腕の寺田光投手(3年)が完封し、春夏通算11度の甲子園出場を誇る常葉大菊川を1−0で下した。好調を維持して迎える新体制でのスタート。主将の浅井雄亮内野手(3年)は「1試合でも多く勝って、夏に向けて成長していきたい」と燃えている。