<ボクシング:WBA世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇6日◇東京ドーム

王者ユーリ阿久井政悟(28=倉敷守安)が3−0回判定で初防衛に成功した。ジャッジは117−111が2人に118−110と大差をつけた。

3年前に日本王座をかけて戦った桑原拓(29=大橋)との再戦で、返り討ちに成功した。ベルトをとるより難しいとされる初防衛戦。岡山のジム所属で初の世界王者となったユーリ阿久井が、その重たいプレッシャーもはねのけた。

前日計量を100グラムアンダーの50・7キロでクリアした後は「何も問題ない。普通にクリアしました」と淡々と話した。世界王者になって以降、地元の岡山から注目されて多忙な日々を過ごした。その中で初防衛戦に向けて、調整してきた。

挑戦者の桑原は21年7月、ユーリ阿久井が日本同級王者として2度目の防衛戦で迎え撃った。結果は10回KOと圧倒した勝利で、以来の再戦となった。「(前回対戦時と)立場も実力差も何も変わっていない」と自信を示していた。

舞台は東京ドーム。8年ほど前、妻の夢さんがファンというスーパーエイト(当時関ジャニ∞)のコンサートで訪れたのが初体験という。「野球選手はここでホームランを打つんだと広さにびびった。自分がそこで試合をするとは思ってもいなかった」。守安会長も「野球場だから野球するもんだと思ってたけどね。とにかくビックリですよ」と表現したまさに夢舞台だ。

しかし、その考えも試合直前に変わった。「舞台は大きいけど、普通の試合ですね。プレッシャーも特にない。何も考えていないといえばあれですが、無心でやってきたことを出す。それだけです」。

研さんを惜しまず続けてつかみ取ったベルト。岡山にもたらした栄誉を簡単に手放すわけにはいかなかった。