【ドーハ17日(日本時間18日)=佐藤成】U−23日本代表が19日に、パリ五輪アジア最終予選兼U−23アジア杯カタール大会1次リーグ第2戦のUAE戦へ臨む。

退場者を出しながら辛くも勝利した初戦から中2日で中東勢との対戦。勝てば決勝トーナメント進出が決まる可能性もある。第1戦で退場者の影響を受けて戦術的理由から22分間の出場にとどまったMF山本理仁(22=シントトロイデン)が並々ならぬ思いでチームを連勝に導く。

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珍しい光景だった。人当たりが良く、優等生キャラで知られる山本が中国戦で途中交代を命じられると、明らかに不満げな表情を浮かべてベンチに戻ってきた。「(交代が)俺か〜って(笑い)」。前半17分にDF西尾隆矢(22=C大阪)が退場し、DFラインが減ったことで、中盤を1人削らなければならず、山本が「犠牲」になる形で同22分に交代を余儀なくされた。

気持ちの整理はもうついた。「勝っている状況だったので、僕を外すのが妥当かなと自分の中で後で考えていました」。大岩監督からも謝りの言葉を受けたといい「チームとして、パリに行くためにここに来ているので、のみ込まないといけないし、もう特に何も思ってないです」とチームファーストの姿勢を貫く。

悔しさだけでなく、親族の活躍もUAE戦の活力にする。17日に弟の丈偉(17=東京V)がルヴァン杯鹿児島戦でプロ初ゴールの決勝弾。遠く離れたドーハで生配信観戦したといい「おお! って声出ました。俺も決めないとっていう感じです」。チームを勝たせる一撃を狙う。

コンディションは完璧だ。10人で長い時間を戦った他の先発メンバーに比べて疲労度は段違いに低い。立ち上げからチームを支えてきた同じ副主将の西尾の帰還まで自身が引っ張る覚悟だ。「次、隆矢が戦える舞台を用意するために僕らは勝ち続けなきゃいけない」。数的不利の10人ながら五輪最終予選で6大会連続の完封発進に成功したチームを、背番号7がもう一段階上に引き上げる。

◆突破メモ 各組上位2カ国が準々決勝の決勝トーナメント進出。日本(勝ち点3)がUAE(同0)に勝利した上で、韓国(同3)が中国(同0)に引き分け以上で決定する。それ以外の場合は第3戦に持ち越しとなる。

〇…UAE戦に向けた18日の前日練習はドーハ市内で冒頭のみを公開し、23人全員がグラウンドで調整した。大岩監督は総力戦での準備を強調。第1戦は試合の大半を10人で戦った消耗戦だっただけに「いろいろなことを含めて先発を選びたいなというのがあります」。交代選手も含めてさまざまな想定をして11人を送り出す。中東勢との対戦に「スピード豊かな選手が多数いる。あとは最前線でターゲットもいる」と気を引き締めた。