<B1リーグ:秋田93−88千葉J>◇5日◇第36節◇秋田・CNAアリーナ☆あきた

今季最終戦でB1秋田ノーザンハピネッツが千葉ジェッツに、2度の延長の末、93−88で勝利した。チーム最多3本の3点シュート(3P)を決めた田口成浩(34)は13得点、チーム唯一の60試合出場を果たした長谷川暢(27)はチーム最多14得点と、4選手が2桁得点を記録するなど全員得点。駆けつけた4839人のブースターは千葉Jのフリースローを8本防いだ。まさしく秋田一丸となってつかんだ勝利だった。

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序盤に大量リードを許した第1戦と打って変わって、激しい点の取り合いを繰り広げた。秋田は前半を54−37と大きくリードしたものの、第3Qからは千葉Jの勢いに押されて延長に突入。両軍1歩も譲らず。試合は延長2本目にまでもつれ込んだ。

得点が決まれば歓声が沸き、決められれば落胆が響く。一喜一憂の均衡を破ったのは田口の1本だった。86−85で迎えた残り26秒、3Pラインの真ん中からリングを射抜いた。ほえる田口に会場のボルテージは最高潮。もう、落胆の声は聞こえない。ヒーローは「内容はもうどうでもいいです。チーム一丸となって勝ち切れたことが全てです」と勝利をかみしめ、前田顕蔵ヘッドコーチ(HC=41)は「最後勝ち切れたのは、ホームだったから。本当に楽しくて、最高の雰囲気で、最高のブースターさんたちと勝って終われたことを非常にうれしく思います」。30勝30敗。みんなで勝率5割を成し遂げた。

今季一番の熱気だった。この日は秋田県内各地で25度を超える夏日を観測。だが、秋田のどこよりも、CNAアリーナが一番アツかった。シーズン開幕前、指揮官は「すごくアツいシーズンにしたい」と語っていた。この日、長谷川のコートインに大きな拍手が起こり、田口の雄たけびに大歓声が沸き、第1戦でキャリア初の3Pを決めた王偉嘉(25)が、この日も3Pを決めると地鳴りが響いた。「いやぁ、アツかったっすね!試合が終わってほしくなかった。3つ目の延長行っちゃう?みたいな(笑い)。今日の試合はホームベストゲームだと思います」と指揮官。最高の形でシーズンを締めくくった。

来季はもっとアツく−。「僕たちが見据えないといけないのは、これが日常になって、ホームでチャンピオンシップ(CS)が開催されて、秋田県ごと盛り上がっていけるような存在になること」。秋田県すべてを巻き込み、今度こそCSに到達する。【濱本神威】

○…秋田の「1番」が今季一番のゲームを見せた。第1戦で自身初の3Pを決めた王が、この日も2本決め、自己最多を更新。「練習は無駄じゃなかった。めちゃくちゃうれしかったです」。ポジションの関係でこれまで打つことはほとんどなかったが、練習は裏切らなかった。終わってみれば、今季自己最多の8得点。決まるたびにどかんと沸くアリーナに「めっちゃうれしい」と笑顔だった。