◆競泳・パリ五輪代表選考会 第6日(22日、東京アクアティクスセンター)

 男子200メートル背泳ぎの決勝で、19歳の竹原秀一(東洋大)=福岡県宗像市出身=が1分56秒28で1位となり、日本水泳連盟が定めた派遣標準記録を突破して初の五輪代表入りを決めた。

 パリへと続く水面を力強く進んだ。電光掲示板に表示された自己新記録を確認すると、竹原は会心の笑顔を見せた。「平井(伯昌)コーチら皆さんに支えてもらったおかげ。本当にうれしい」。前半から積極的に飛ばして主導権を握ると、トップを守りきった。

 水面から上半身が飛び出す独特のフォームが生む推進力が持ち味だが、昨夏の福岡世界選手権では準決勝で敗退。世界の壁を感じるとともに、五輪への思いは募った。北島康介らを育てた東洋大の平井コーチの下で個性的な泳法の長所を維持しつつ、呼吸のリズムや細かいキックを強化し、自分の形を構築した。

 「(平井コーチから)これができなければ(五輪は)4年後だよ、と言われて、いつも頭に残っていた」。恩師の厳しい言葉もばねに成長し、今大会は100メートルでも4位と健闘。得意の200メートルでは予選、準決勝ともに自己ベストの好記録をマークして、いずれも全体1位で突破していた。

 この種目の第一人者で、憧れでもある入江の存在も大きい。2022、23年と日本選手権で連覇を達成しても「(入江)陵介さんの次がいない、次がいないと言われていた」と振り返る。今大会は尊敬する34歳の先輩に堂々と勝ちきって、世代交代を印象づけた。

 レース後には隣の入江から祝福された。「陵介さんの分まで、これから自分が引っ張っていくつもり」。偉大な存在を追い続けた19歳は、エースとして晴れ舞台に挑む。(山田孝人)