◆陸上 セイコー・ゴールデングランプリ(19日、東京・国立競技場)

 女子やり投げで2022年、23年世界選手権代表の上田百寧(ゼンリン、福岡大出身)が今季ベストとなる60メートル93で日本人2番手の4位に入った。昨年の同選手権を制し、パリ五輪代表に内定している北口榛花(JAL)が63メートル45で優勝した。

 上田は5投目を終えた時点で北口、武本紗栄(Team SSP)に次ぐ日本人3番手の5位。6投目で60メートル93を出して武本を逆転した。それでも「自己ベスト(61メートル75)更新と(パリ五輪の)参加標準記録(64メートル00)の突破が目標で、調子が良かった。しっかり投げきれなかったのはすごく残念」と笑顔はなかった。

 陸上の五輪代表は各種目とも1カ国・地域につき最大3人。同記録を突破できなくても、世界陸連が定める五輪選考のランキングで上位に入れば出場資格は得られる。国際大会の中でもランクの高い今大会で一定の成績を残した上田は五輪出場へ一歩前進となった。それでも「参加標準記録を突破していかなければ、五輪に出ても出場するだけで終わってしまう。世界でメダルを取るのが目標なので、64メートルは必要」と先を見据えるからこそ、悔しさを募らせた。

 北口も4投目を終えて60メートル20が最高だったが、5投目に62メートル02をマーク。6投目で63メートル45を出し、昨年の世界選手権に続いて最終投てきで逆転優勝を果たした。

 上田は「北口さん自身も調子が良いとき、悪いときがあるとは思うけど、6投目にしっかり投げてくるっていうのはやっぱりすごい。身近に世界チャンピオンがいるということは、私たちも頑張ればそこまでいけると思える。すごくありがたい」と敬意を表する。

 同時に「いつも刺激はもらっているけど、早く追い越せるように。(現役日本人選手で)北口さんにだけは勝ったことが一度もないので。1回でも勝てたら自信になる」と対抗意識を燃やす。次に対戦する可能性があるのは、残り2枠の代表入りを懸けた6月下旬の日本選手権(新潟)。「そこで自分の最大限の投げができれば」と北口超えをモチベーションにし、好記録で優勝して五輪へ弾みをつける意気込みだ。