◆全九州高校バスケットボール大会男子決勝 福岡大大濠69―54福岡第一(16日、薩摩川内市・サンアリーナ川内)

 全国高校総体(インターハイ)のシード権を懸けた戦いは福岡大大濠が福岡第一に快勝し、6大会ぶり28度目の頂点に立った。

 出身地・鹿児島で九州王座に輝き、2年生ポイントガード榎木璃旺が会心の笑みを浮かべた。誰よりも長くコートに立ち、冷静に試合を組み立てた。湧川裕斗主将も「榎木が引っ張ってくれた。ミスが出た時にどういう展開に持ち込むかを話してくれてやりやすかった」と感謝しきりだった。

 7点リードで前半を折り返した第3クオーター(Q)。榎木の3点シュートが猛攻の口火だった。大濠の5人は得意の速いパス回しから守備のズレを突くドライブで福岡第一のゾーン守備を切り裂き、右コーナーでフリーとなった榎木が湧川のアシストを落ち着いて決めた。

 続く攻撃では高田将吾(3年)のシュートがこぼれたボールを湧川が空中でつかんでシュート。バスケットカウントも奪った。さらに次の攻撃では高田が3点シュートを沈めて2分弱で点差を「14」に広げた。

 榎木は前半は無得点だった。「前半は入らなかったけど、シュートを打つ気持ちをなくさずに打ち続けられたのがよかった」。積極性を失わなかったのが奏功した。第4Q終盤には疲れの見える福岡第一の宮本聡(2年)からボールをスティールし、ワンマン速攻でレイアップを決めた。後半だけで9点を挙げた。

 鹿児島県いちき串木野市出身で、ミニバスケットの「川内Green backs」に所属。今大会の会場で汗を流し頭角を現した。中学は三重の強豪四日市メリノール学院中に進学。3年時に全中優勝、MVPに輝き、大濠に入学。1年時から先発を任されている。アンカー

 昨年出場した鹿児島国体は2回戦敗退。試合会場は同じ場所だった。「ふがいない姿を見せてしまった。今回はチームを勝たせられて、自分も活躍できたのでよかった」。凱旋(がいせん)勝利に声を弾ませた。

 出場時間の長さは片峯聡太監督の信頼の表れだ。「私が安心して起用できる。チームのために自分がどう頑張るか、答えを持ってコートの中でやってくれている」。プレッシャーの激しい第一の守備をおとりとなって引きつけ、湧川らのシュートを演出できるようになってきたという。「もう少しシュートが入るようになれば万々歳」と成長を期待した。

 九州王者に立ち、インターハイのシードも手にした。福岡1位での出場と合わせて、片峯監督がチームに課したインターハイ前のミッションだった。納得のいく形でクリアし、榎木は「準備は完全に整いました。気を緩めず初戦に臨めれば、絶対に優勝できる大会だと思う」と胸を張る。湧川も「今回の結果を自信に変えて、タフな試合が続いても勝ち上がりたい」と続けた。2年生司令塔の成長が7年ぶりに夏の王座を狙う大濠の鍵を握る。アンカー