北海道・浦幌町のアイヌ民族団体が、地元の川でサケをとるのは先住権の一部であるとして確認を求めていた裁判で、札幌地裁は原告の請求を棄却しました。

アイヌ民族団体 差間啓全さん

「率直に言ってこの判決は不服です」

4年前、差間さんらは、北海道・浦幌町(うらほろちょう)の地元の川でサケをとるのは、先住民の権利、先住権の一部であるとして、国などを相手に日本で初めて「先住権」の確認を求める裁判を起こしました。

河川でサケ漁を行うことは水産資源保護法などで原則、禁じられていますが、アイヌがサケをとってきた歴史的な事実に基づき、浦幌十勝川でサケ漁ができる権利の確認を求めています。

ただ、国は一貫して「現行の法律で認められていない」と反論。

そして、迎えた昨日の判決。札幌地裁は、「アイヌ文化を享有する権利は最大限尊重されるべき」としました。

一方で、経済活動としてサケをとる権利については、河川は公共の物であることから「特定の集団が排他的に漁業を営む権利を有すると認めることは困難」などとして、訴えを退けました。

原告側 市川守弘弁護士

「河川を公共用物として管理する国が、どういう権利が認められるんだろうという流れになってしまって、その結果 経済活動として自由にサケをアイヌがとる権利は認められません。そういう先細り判決になっている」

原告 アイヌ民族団体 差間啓全さん

「先祖のアイヌの人たちは生活や交易でサケをとっていた。(北海道の許可が必要な)特別採捕で限られた数だけで終わるのではなく、経済活動として生活の糧になるようにしたい」

中央大学法務研究科 小坂田裕子教授

「札幌地裁が歴史的な不正義の問題を若干考慮しているとはいえ、正面から向き合うことなく現代的な権利関係のみに焦点を当てて判決を出したのは残念。国際的な潮流から外れるものではないかと思っています」

原告は判決を不服として控訴する方針を示しています。