大分県南部に位置する佐伯市のグルメといえば「海の幸」。それ以外にもラーメンや唐揚げなど独自の食文化があります。こうした佐伯のご当地グルメが大分市内に続々と進出しています。

名物「一本揚げ」

大分市羽屋新町に4月にオープンした「肉の城南」南大分店。こちらのお店で販売しているのは佐伯の名物「一本揚げ」です。骨付きの大きな唐揚げで、佐伯市内ではいくつかの店で販売されていて、家族の集まりなどには欠かせない存在です。

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一本揚げ文化の一翼を担ってきた「肉の城南」は3年前に先代の清松環さんが他界。息子の勝彦さんが東京からUターンし、跡を継いでいます。

(肉の城南 清松勝彦さん)「やり方は秘密です・秘密なんですけど僕が父親から習った方法でさばいています」

新鮮な若鶏を店でさばくのも城南のこだわり。勝彦さんは父の味を受け継いで佐伯の店を切り盛りするかたわら、大分市への出店を決めました。

(肉の城南 清松勝彦さん)「佐伯の人たちは一本揚げのおいしさを知っているが、大分市の人は何それって?いいものなのに知られていないっていう思いがあった」

南大分店の店長を務める猪立山一成さんは、城南の味にほれ込み、脱サラしました。

猪立山一成店長

(肉の城南・南大分店 猪立山一成店長)「もともと食べ歩きが大好きで、肉の城南の唐揚げを食べておいしさに衝撃を受けて、ぜひこれを売ってみたいと思った」

メニューはモモと手羽の2種類(1本500円)のみ。大分市でも好調な売れ行きで、佐伯の「一本揚げ」を知らなかったという人も多く訪れています。

(客)「来店はきょうで5〜6回目ですね。佐伯の一本揚げは知らなかったです」

佐伯ラーメン

一方、去年12月、大分市府内町にオープンした元祖佐伯ラーメン上海。佐伯ラーメンの礎を築いた名店「上海」の味の再現を目指しています。

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(元祖佐伯ラーメン上海 古戎喜紀さん)「佐伯の上海の営業が終わって20年くらいになるが、復活してくれてうれしいという声や、涙を流して感謝されることがあるのでやりがいは感じますね」

中太ストレート麺に絡む醤油とんこつスープに魚介やゴマの風味が特徴の佐伯ラーメン(800円)。大分市内でも提供する店が増えてきています。

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(元祖佐伯ラーメン上海 古戎喜紀さん)「変わった味だねということでリピートしてくれるお客さんが非常に多いが、佐伯出身の人が本格的な佐伯ラーメンがこんなに近くで食べられてうれしいよとかそういう声をいただいている」

ソウルフードのコロッケ

大分市に2021年にオープンした「弥生たかはし」。看板メニューはコロッケ(1個150円)です。

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(弥生たかはし 高橋由香さん)「佐伯市ではとても有名なコロッケだが、佐伯まで行きたいけど行けない人がいるので大分市内でも購入いただける機会をと思って」

店で販売しているのは創業70年を超える佐伯市弥生の惣菜店「たかはし」のコロッケ。玉ねぎをたっぷり使った優しい甘さが特徴で、弥生の店では一日で1000個以上売れる日もある佐伯市民のソウルフードです。

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中央町への出店から3年、常連客も増え佐伯の味が大分市にも定着してきています。

海の幸をはじめとした“食観光”を前面に打ち出している佐伯市。大分市への進出によって食の魅力の発信が期待されています。

(観光まちづくり佐伯 軸丸綾香さん)「食の町佐伯ということでいろんな方に知ってもらうことによって最終的には町の力になると思うのでぜひ大分市で味わった後は実際に現地まで足を運んでもらってダブルでお楽しみいただければ」

海の幸だけではない佐伯グルメの認知度は、今後さらに高まりそうです。