ドジャースの大谷翔平(29)が26日(日本時間27日)、敵地シカゴでのホワイトソックス戦に「1番・DH」で出場し、1回に2試合連続となる25号先頭打者アーチを放ち、4−0で勝利したチームの4連勝に貢献した。10試合連続打点はドジャースでは史上初となる快挙。2つの四球を選び2打数1安打で、リーグ1位をキープしている打率も.322にアップ。打点も61となり、64でトップに並ぶアーセナル・オズナ(ブレーブス)、アレク・ボーム(フィリーズ)に3差と迫った。デーブ・ロバーツ監督(52)は絶賛。打たれたホワイトソックスの右腕エリック・フェディ(31)はそのパワーに驚愕していた。

 もう敬遠するしか封じる手段はないのかもしれない。またしても1回だ。今季5勝3敗、防御率3.05だが、そのうち4勝をあげた本拠地での防御率は、0.95で、19イニング無失点を続けていた右腕フェディに対して、大谷はフルカウントまで1球もスイングを仕掛けなかった。
フェディはフォーシームは投げずシンカーとカットを中心とした変化球投手。大谷は対角線に投げ分けてくるカットの軌道を見極めていた。そして6球目の外角高めに浮いたカットを見逃さない。
フェンスギリギリだった前日の24号とは違い、右中間スタンドの中段で弾んだ打球は大きく跳ねた。打球速度は113.9マイル(約183.3キロ)で飛距離は437フィート(約133メートル)。フェディは呆然とした表情で、その打球を見送った。
2試合連続の先頭打者アーチで死球による左手骨折で離脱したムーキー・ベッツに代わって6月17日から1番に入って早くも3本目。
ホワイトソックスの地元紙シカゴトリュビューン紙によるとフェディは、この打席まで、9試合で打率.441、7本塁打、16打点と“無双モード”の大谷を迎えるにあたって「正直に言えば、投げている時には、そうした要素については考えないようにしている。プラン通りに抑えようとした」という。
だが、フルカウントとなって心理に変化が生まれた。
「試合開始からカウント3−2となり嫌な状況になった。そこで“オーケー。彼は先頭打者なんだ。彼を塁に出さないようにしよう”と(気持ち)を変えたんだ。だが、私は彼が凄いパワーを持っていることを思い知らされた」
結果論で言えば、その“四球を避けたい”という気持ちが裏目に出た。ストライクを投げてはダメだった。大谷には“四球でもオーケー“という考え方で臨むべきだったのかもしれない。
大谷は3番打者のフリーマンの耳元でフェディの打席で感じた情報を伝えることを忘れていなかった。大谷は、3回無死一、二塁で回ってきた第2打席は、四球を選び、満塁にチャンスを広げた。2番で起用されていたテオスカー・ヘルナンデスの右犠飛、そして大谷が何かワンポイントを伝えたフリーマンのライト線を破る2点タイムリー二塁打につなげて、チームは3点を追加。守っては大谷が「素晴らしかった。気づいたら回が終わっているくらいの早いテンポでリズムよく投げていた」と絶賛したギャビン・ストーンが103球の完封勝利でア・リーグ中地区最下位のホワイトソックスを相手にスイープを完結した。

 大谷はこれで10試合連続打点。1955年にロイ・キャンパネラが作った9試合のドジャースの最長記録を更新した。また2試合連続の先頭打者アーチもドジャースでは初。スポーツネットLAのインタビュー映像によると、大谷は、この記録について「ランナーがいる状況が多いし、自分自身のアットバットを継続していくことを一番に考えている。その結果、打点がついてきている」と語っている。
大谷は、2打数1安打(本塁打)1打点2得点で、本塁打は2位のオズナに4本差。打率は.322まで上げて、2位のジュリクソン・プロファー(パドレス)に6厘差。また打点でもオズナ、ボームに3差で完全に“3冠”を射程圏内に捉えた。
MLB公式サイトによるとデイブ・ロバーツ監督は「(先頭打者本塁打で)即座にチームにエネルギーをもたらしてくれた。先頭打者本塁打、連続試合打点と、すべてにおいて今のショウヘイは本当に好調でとてもよくバットが振れている』と絶賛した。
6月だけで11本塁打。この10試合で、打率.444、8本塁打、17打点、出塁率.563、長打率1.194、11四球で三振はわすかに6。同サイトは「10試合連続打点記録の間の彼の成績はまるでビデオゲームだ」と評した。
ロバーツ監督は「もし相手がストライゾーンの中にある大谷のゾーンに投げれば、彼はそれを強打するだろう。彼の自制心が、この星で最も危険な打者にさせている」という表現で称えた。
大谷は、25号を放った第1打席でフルカウントまでボール球どころかまったく手を出さず、失投を1球で仕留め、この試合では、2つの四球を選んだ。その選球眼の良さが“無双モード”を支えている。そして何よりスイング、構えがぶれない。
前出のスポーツネットLAの中で、大谷自身も好調の理由を「シンプルにストライクを振るのが一番のポイント。そこさえできていれば、いいスイング、いい構えができている証拠じゃないか」と説明していた。
またオレンジカウンティレジスター紙は、3番に座るフリーマンも、6月の成績が、打率.333(84打数28安打)、3本塁打、17打点、19得点、6二塁打と、大谷に対抗するほど絶好調であることを指摘。
ロバーツ監督の「もしショウヘイが、こんなに結果を残していなければフレディが、この数週間で週間MVP候補に挙がっていただろう。しかし、ショウヘイは今別のレベルにあるからね」というコメントを紹介している。