服装や身だしなみのルール緩和が様々な職場で進んでいます。髪型や髪色、アクセサリーの自由化などにより、働く人たちのモチベーションアップにつながっているようです。

髪色が自由に。ピアスやイヤリングも

大分県日田市の特別養護老人ホーム「喜楽苑」では、5月から勤務時の介護スタッフの身だしなみルールを見直しました。検討のきっかけは現場の若い女性スタッフからおしゃれを楽しみたいという声があがったことでした。

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施設では以前、制服が統一されていましたが、5年前からポロシャツのカラーが自由に選べるようになりました。さらに5月から髪の色が自由に。ピアスやイヤリングなどのアクセサリーも利用者を介助する際、けがをさせないことなどを条件に着用できるようになりました。

(喜楽苑のスタッフ)「髪型はツーブロックにしています。利用者にも悪い印象を与えるんじゃなくて良い印象に変わると思うので自由化は賛成ですね」「あまりアクセサリーとかできなかったから結構楽しくなりました」

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狙いは働く人材の確保です。大分県の推計によりますと、65歳以上の県内の高齢者人口は来年ピークを迎え、介護人材の不足は2030年に5375人。その10年後には8000人を超えると見込まれています。喜楽苑では身だしなみルールを自由化することで人材確保につなげたい考えです。

(喜楽苑・塩井康夫事務長)「長く勤めてもらいたいし、やりがいをもって仕事を続けてもらいたい。また気持ちに余裕を持って入居者に優しく対応できるようなそういった職員を育てていきたいと思っています」

金融機関、女性は制服か私服を選択

このような職場での身だしなみの自由化について、大分大学経済学部の石井まこと教授は、「制服といった労働ワークスタイルにすごく寛容な職場であれば、やはり働きやすい職場になるので、おのずとそういった企業は支持されていくと思う。リスペクトしながら雇用主と働き手がお互いの距離をとっていくのはすごく重要なことではないかと思います」

実際に服装の見直しを始めた豊和銀行では、去年9月から男性のネクタイは任意に。女性は制服かスーツなどの私服を選択できるようになりました。導入しておよそ1年が経つのを前に評判は上々です。

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(行員)「朝と夕方帰るとき着替えが必要でしたが、それがなくなったのがすごく楽になりました」「制服だったらベストを着ないといけないんですけど、それがやっぱりないので涼しいですし、締め付ける感覚がないのがすごく良いです」

豊和銀行全体では女性で私服のスーツを着用している人は5割強。当初の予想よりまだ制服の割合が多いということですが、見直しの取り組みを続けていきます。

豊和銀行・権藤淳頭取

(豊和銀行・権藤淳頭取)「世の中がやっぱり変わってきているんだなあと。とくに多様性だとかジェンダーレスという動きであるとか。生活もそうでしょうし仕事においても自分らしさを発揮できるような一助になればと思っています」

働き方が多様化する中、人材の確保や能力の発揮に向けて個性を尊重する職場ルールの見直しはますます広がりをみせそうです。