3季連続決勝進出の琉球ゴールデンキングス
試合中にガッツポーズを決める今村佳太©琉球ゴールデンキングス

プロバスケットボールBリーグの琉球ゴールデンキングスが、3シーズン連続となるチャンピオンシップ(CS)決勝への切符を掴んだ。

18〜21日に沖縄アリーナで行われた2戦先勝方式の準決勝。西地区2位のキングスは東地区3位(ワイルドカード2位)の千葉ジェッツ(千葉J)に対し、第1戦こそ62ー95で大敗したものの、第2戦を81ー63、第3戦を83ー67で連勝。3月にあった天皇杯決勝で69ー117という屈辱的な惨敗を喫した千葉Jにリベンジを果たし、準決勝を突破した。

準決勝第3戦後、桶谷大HCが「2戦目に続いて強度の高いディフェンスができたところと、オフェンスでインサイドを突いたり、富樫選手のところをアタックしたりと、選手たちがしっかりとプランを遂行してくれました」と勝因を語った通り、各選手が自らの役割を果たし、チーム全体で高い遂行力を示した。

中でも、負傷した右足首に痛みを抱えながらコートに立ち続けた今村佳太のプレーには、鬼気迫るものがあった。動きのキレは万全の状態から程遠いのにも関わらず、いずれも先発でコートに立った第2戦と第3戦を合わせ、スリーポイント(3P)の成功率は驚異の71.4%(7本中5本成功)。魂のこもったプレーで、チームをけん引した。

怪我をした時は「準決勝に出られるとは思わなかった」

3季連続決勝進出の琉球ゴールデンキングス
千葉ジェッツの富樫勇樹をディフェンスする岸本隆一(右)や今村ら©琉球ゴールデンキングス

今村が足を痛めたのは、13日に行われたアルバルク東京との準々決勝第3戦。試合の終盤、ジャンプして着地した時に右足首を痛め、チームメートとコーチに両肩を担がれながら苦悶の表情を浮かべてコートを後にした。チームは勝利したものの、ベンチ裏の椅子に座って試合終了のブザーを聞き、悔しさを滲ませた。

千葉Jとの第3戦後、会見に出席した今村は当時の心境を「正直、捻挫をした時はセミファイナルに出られるとは思ってなかったです」と振り返った。それでも5日後の準決勝第1戦からファンの前に姿を見せ、コートに戻ってきた。どのようなケアをしてきたかを問うと、岡本育アスレティックトレーナーや、チームとメディカルサポート協定を結んでいる琉球大学病院のチームドクターへの感謝を口にした。

「岡本トレーナーと琉球大学病院の皆さんにとてもサポートしていただきました。高気圧酸素療法をしたりして、少しでも治癒能力が上がるようにしてくれました。MRIを撮り、幸い靭帯や骨に異常がなかったことも大きかったです。皆さんがどれだけ自分の痛みを軽減できるかということに注力してくれたことが、この3戦で僕がコートに立てた要因だと思います」

2024年5月31日15時45分〜 沖縄県内のTV 8チャンネルにて放送!!

沖縄テレビ(8ch)では、5月31日(金)15時45分から琉球ゴールデンキングスのシーズンを振り返る特別番組を放送します!
ぜひご覧ください!

「自分の仕事」2試合とも前半で流れ呼び込む

3季連続決勝進出の琉球ゴールデンキングス
指示を出す桶谷大HC©琉球ゴールデンキングス

第1戦はベンチスタートで12分2秒の出場にとどまり、無得点。しかし、第2戦は先発でコートに立ち、第1クオーター(Q)で2本連続3Pを決めて流れを引き寄せた。先発出場は第1戦の大敗を受けての選択だったようだ。

「GAME1の敗戦を受けて自分たちが何かしら変えなきゃいけない中、出だしでどれだけイニシアチブ(主導権)を取れるかということがキーになってくると思っていました。正直、足首の状態は良くなくて痛かったんですけど、それでも自分がコートに立つ意味はあるんじゃないかと感じていました。それを受け入れてくれた桶谷HC、チームメートには感謝をしていますし、それに応えなきゃいけない。チャンピオンシップは気持ちの部分が何よりも大きく試合に影響するので、そこは自分が出せればと思って出場しました」

短期間での完治は難しく、試合中に足が痛そうにする仕草もシリーズを通して見られたが、勝負を決める第3戦も先発で出場し、チームで4番目に長い25分4秒に渡ってプレー。この大一番でも前半で2本の3Pを決め、チームに勢いをもたらした。今シーズンは出だしでつまづき、そのままズルズルと最後までいって負けてしまう試合も多かったため、前半で活躍することは自らの役割だったと今村は言う。

「(負傷で)やれることが限られていた中、キャッチ&シュートは自分が今できることだと思っていたので、狙っていました。特に前半の第1Qで流れをつくることは自分の仕事だと思っていました。それができれば自分の仕事はそこで終わりくらいの気持ちだったので、その気持ちが出せました」

第2戦の後には、桶谷HCも今村について「正直出られるかどうかが分からない状態で、メディカルチームとギリギリのせめぎ合いをやってもらいながら、『ちょっとでも出られるのであれば出ます』と本人が話していました。『スタートで大丈夫か?』と聞いたら『やらせください』と。彼はプレーしたら痛くなるのも分かっているけど、『任せてください』と言ってこの活躍です。本当に気持ちでプレーしてくれました」と称賛していた。

第2戦で4本の3Pを沈め、この試合のMVPに選出された小野寺祥太も「コンディションが悪い中でああいうパフォーマンスをしてくれて、本当にチームとして士気が上がりました」と刺激を受けたという。

「チームメートやファンの皆さんなど、キングスに関わる全て人たちが自分を必要としてくれる限りは、その気持ちに応えたいという思いでコートに立ちました」と言う今村の強い覚悟と責任感が、チームメートを奮い立たせたことは間違いない。

「チームの勝利に直結するプレーを」強い覚悟で決勝へ

3季連続決勝進出の琉球ゴールデンキングス
ドライブを仕掛けるヴィック・ロー©琉球ゴールデンキングス

今シーズンはヴィック・ローやアレックス・カークという強大な個が加入した一方で、チーム力がなかなか上がらず、全60試合を戦うレギュラーシーズンは浮き沈みが激しく、苦しんだキングス。それでもCSではA東京、千葉Jという歴代王者の強豪を接戦の末に破り、ついに3シーズン連続となるファイナルの舞台にたどり着き、今村は「チャンピオンシップを通し、戦う姿勢や自分たちのスタイルを貫き通す我慢強さが出てきている」と成熟度の深まりを実感している。

決勝の相手は、初の決勝進出を果たした西地区3位の広島ドラゴンフライズ。今季の直接対決は3勝1敗でキングスが勝ち越しているが、元キングスのドウェイン・エバンスを中心に、シーズン終盤にかけて攻守に磨きが掛かり、勢いに乗っている。準決勝では、今季キングスが4戦全敗となった西地区1位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズを2勝1敗で下しており、決勝も激しいシリーズになることが予想される。

キングスにとってはクラブ初の2連覇も懸かる決勝。そんな大一番だからこそ、優勝するためには「チームの勝利に直結するようなプレーをしなきゃいけないプレーヤーだと思う」と自負するエースの活躍は必要不可欠だ。準決勝から中三日で迎える頂上決戦で、今村は再び自らの存在意義を証明してくれるに違いない。

運命の決勝の舞台は横浜アリーナ。25日正午から第1戦、26日午後1時10分から第2戦を行い、1勝1敗となった場合は最終第3戦を28日午後7時5分から行う。

2024年5月31日15時45分〜 沖縄県内のTV 8チャンネルにて放送!!

沖縄テレビ(8ch)では、5月31日(金)15時45分から琉球ゴールデンキングスのシーズンを振り返る特別番組を放送します!
ぜひご覧ください!