ドイツ・デュッセルドルフ在住でフリーアナウンサーの小山瑶さんが、現地で暮らすからこそ得られるディープで旬な情報を教えてくれる連載。アナウンサーそしてジャーナリストとしての視点を交え、ドイツの情報をいろんな角度からお届け。今回は日本に一時滞在中に感じた、ママ目線の発見やドイツとの違いを綴っていただきました。

フリーアナウンサー 小山瑶の海外生活 in Germany
Epi.32「ドイツから子連れでファーストフライトを経験。〜入院編と日常生活編〜」

春の風物詩、桜の季節も終わり新緑が美しい季節に突入しましたね。春の移り変わりをこの日本で感じられて嬉しい気持ちです。日本に一時帰国して約1カ月経ちますが、圧倒的に驚いたのがどこにでも海外からの観光客であふれていること。これまでは渋谷や東京駅、銀座など首都圏の有名都市に多くの海外からの観光客の姿が見られていましたが、最近は地元の埼玉県でも海外観光客の姿が多数見受けられ、不思議な気持ちです。ついこの間生まれた娘ももう生後4カ月に。娘の成長を見ると、時の流れを感じます。


 


生後3カ月の娘を連れて、一時帰国のため初フライト。日本の航空会社を利用し、フランクフルトから羽田までの約14時間フライトを経験しました。フランクフルト発は夜便を選択。子連れフライトは、夜便がオススメという情報を友人から聞いていたので、21時前発の便にしました。バシネット席を取っていて優先的に搭乗できたため、少し余裕がありました。ベビーカーも荷物に預けるのではなく、直前の搭乗入口まで持って行けたため安心でした。

ファーストフライトの思い出をハガキにしてプレゼント。裏側には娘の名前と直筆メッセージも添えられていました。

飛行中は、発着の際の耳抜きがポイントのため、着陸離陸のタイミングに合わせて母乳を飲ませるなど工夫しました。途中で娘が寝てしまったので完全に耳抜きできたのかは分かりませんが、多分大丈夫だったかと思います。約14時間中12時間は寝てくれていたのと、飛行機の音が胎内音のように聞こえたのか終始穏やかなフライトとなりました。搭乗中嬉しかったのが、娘にファーストフライトのプレートをサプライズで客室乗務員の方が出してくれたこと! 日本のおもてなし精神にはびっくり。とてもいい思い出になりました。

サプライズで出してくださったプレート。満席で非常に混んでいましたが、こうしたおもてなし精神には感動し、また利用したいと思いました。

生後3カ月の子連れフライトは、比較的楽だと聞いたことがあります。歩き始めたり、寝返りをよくするようになると少し大変なようです。帰りが今から心配です……。


 


そして個人的な話になりますが、娘が産まれた約3カ月後に、姉の男のコの赤ちゃんが誕生しました。こんなタイミングはない! と思い、姉に日本の産院の様子を聞いてきました。ドイツと日本の違いを改めてお伝えします。

スタジオで甥と一緒に記念撮影。可愛い着ぐるみを身につけて一時帰国中の思い出の一枚に。

①病院事情
産後の母子別室は当たり前?

ドイツでは赤ちゃんを病院側が預かってくれることはありません。朝から晩まで、24時間産まれた瞬間から一緒に過ごします。娘の場合は、産まれた直後から小児科にお世話になったので別室で過ごしていましたが、これは非常にレアなケース。母乳のタイミングでスタッフが呼び出してくれるかたちでした。一方で、日本は(病院にもよりますが)基本母子別室。姉の病院では、夜間に赤ちゃんを預けてスタッフさんに診てもらうことが一般的に行われているなど、産後のママにとっても非常にリラックスできる体制が整っていました。産後の回復が早く、心身共に休まったと姉は話していました。振り返ると、私は授乳も上手くいかず、スパルタ母乳指導をされる毎日……で、心身共に休まる時間は本当にありませんでした。病室も無機質だったのがちょっぴり寂しかったです。

日本の病院での授乳や体温などの記録用紙。これをもとに助産師や医師からのアドバイスを受けるそう。

ドイツでも専門医が何度か見回りに来てくれて、赤ちゃんの心拍を測るタイミングが一日3回ほどありましたが、主に英語を使いながらの検診でした。授乳室はドイツではとくに設けず、全て自室です。なかには、オムツ交換部屋を設置している病院もあるそうで、ドイツの新米パパたちが奮闘している姿が見られるという話も聞きました。


 


私の娘は搾乳した母乳をスタッフさんが代わりに飲ませてくれることが多く、夜な夜なポンプで搾乳したものをスタッフさんに渡し、夜間はそれを飲ませてくれていました。ミルクを作って飲ませてくれてもいいじゃない! と何度思ったことか……、という感じでしたが、スパルタ指導のおかげで今は安定しています。

日本のデパートのおむつ交換台は全てソファー素材で、安心して利用できるなと感じました。

②ベビー服事情
母も子もストレスフリーな日本のベビー服

日本式の服ってとても使いやすく、ドイツのヘバメさん(助産師さん)も「日本のベビー服は素晴らしい! とても使いやすいし、ドイツにも売ってほしい」と話していたのを覚えています。一方でドイツは、上下が繋がっている前あきタイプか、かぶるタイプの肌着がメジャー。日本のものと比べると、ドイツはボタンが多く、オムツを一日何十回も取り替える新生児期は、ボタンの付け替えが大変でした。


 


また、洋服タグや縫い目については、日本のものは赤ちゃんの敏感な肌を守るために服の外側についていたり、縫い目が外側にあったりしますが、ドイツの服はそのような施しはとくにありません。日本らしい丁寧なつくりはママにとっても安心できますよね。

左がドイツのもので、右が日本のもの。日本はボタンが少なく脱ぎ着がしやすいので、おむつ替えが多い新生児にとっては、日本のものが使いやすいと感じました。

③オムツ
おむつの種類も千差万別!

パンツタイプのオムツがドイツは少ないことも、日本に来てから感じました! 娘は比較的うんちを漏らしやすく、パンツタイプを日本で見つけてからはこちらを愛用中です。ぱぱっとはかせることもできるうえ、寝返りを始めた娘にとっても、ズレが少ないのではき心地がよさそうです。日本は1パッケージ40〜50枚入りがほとんどですが、ドイツは30枚ほど。値段は日本とさほど変わりませんでした。

④施設の豊富さ
ママにも赤ちゃんにも優しい日本の環境

ドイツでは授乳室やオムツ交換室は少なく、カフェで授乳をしたり、ベビーカーの上でオムツを変えたり……。これが一般的とまでは言いませんが、頻繁に行われています。ドイツでは私もそのひとり。授乳室がないため、カフェで授乳することも多々ありました。日本では授乳ケープのようなものを使ってあげる方も多くいますが、海外の方はあまりそのようなものを使っている様子は見られません。そのままあげるスタイルにはじめは戸惑いましたが、今では見慣れるほどに。

日本の授乳室。仕切りがあり椅子が置かれていて、ゆっくりと授乳することができます。

日本はどこに行っても授乳室やオムツ交換台がとにかく豊富にあり、綺麗で広くて使いやすい。お出かけもしやすい環境だなとつくづく感じています。余談ですが、娘がドイツで泣き出してしまってどうしようもなくなった際、授乳室がなかったためにトイレで授乳せざるを得ないときがありました。同じ悩みを持つ海外在住ママも多いのではないでしょうか。日本のようにママにも赤ちゃんにも優しい環境をもっと増やしてほしいですが、なかなか難しいのが現状ですよね。日本滞在期間、日本の施設のありがたみを感じながら過ごしたいと思いました。

案内の紙も貼られていて、清潔かつ親切さを感じます。

今回は姉の出産の体験談も交えて、ドイツでの出産と日本での出産の違い、日本滞在中に感じたママに優しい日本の施設の充実さをレポートしました。さて、5月には2年前から予約していた自身の結婚式を控えています。「ドイツと日本」というテーマで結婚式を挙げる予定で、あちらこちらにドイツらしさを散りばめています。それらも次のコラムで紹介できたら嬉しいです。オススメのドイツらしい商品を見つけたので、こちらも合わせて紹介しますね。


 


間もなく日本はGW。素敵な休日をお過ごしくださいね。

Bis dann!!!

text : HARUKA KOYAMA