旅行や出張などで海外に行ったときに、テレビで天気予報を見たことがある人は多いと思います。その際、どのように天気を予測しているのか気になったことはありませんか。天気の予測方法は万国共通なのでしょうか。日本の気象予報士の資格を持つ人が、海外で天気予報に関する仕事をすることは可能なのでしょうか。気象予報士のきりたんさんに教えていただきました。

国によって予報内容が異なる

Q.そもそも、海外の天気予報では、どのような情報が公開されているのでしょうか。

きりたんさん「天気予報自体は、世界各国でも行われています。ただ、その国固有の現象や知りたい情報などが違うため、『そんな予報があるの?』とびっくりするかもしれません。例えばオーストラリアでは、以前から紫外線による健康被害が取り沙汰されていたため、紫外線指数を細かくチェックする人が多いのだそうです。日本でいうと、洗濯物や花粉の情報などが当てはまるでしょうか。

また、天気図の書き方や表現の方法も各国によって少し違いがありますね。例えば、アメリカで日本の気象庁に当たる機関が発行している天気図には、その日の天気が表示されています」

Q.天気の予測方法は万国共通なのでしょうか。

きりたんさん「天気や気候そのものの予測方法は、基本的には同じです。ただ、やはり局地的にしか起こらない現象やその土地柄の大まかな傾向というものがあるので、そういった前提の情報を踏まえると予測のモデルが他の地域とは異なるということはあると思います。また、観測するための装置やデータの取り方、それに伴う精度などは国によっても差があるかもしれません」

Q.日本の気象予報士の資格があれば、海外で天気予報に関する仕事をすることは可能なのでしょうか。

きりたんさん「気象予報士の資格は、原則として『日本国内において日本の天気の予報業務を行うための資格』なんですね。誤解を恐れずに言うと、海外の天気予報は、気象予報士の資格がなくてもできる、ということになります。

とはいっても、天気予報は予報精度の実績が重要ですから、何も実績がない状態から予報業務をスタートさせるのは現実的ではありません。それに、その土地になじみがある方が大まかな天気の傾向を理解しやすいですし、日本人の場合、高い精度を出すためには日本の予測をした方が有利に働くでしょうね。

海外旅行などの際に参考にしたい場合は、世界予報を発表しているアプリやウェブサイトを参考にすると良いと思います。また、海外にもさまざまな天気予報アプリがありますから、ダウンロードしてみて日本との違いを探してみるのも面白いかもしれません」

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 海外の天気予報を見ると、日本とはまったく違う情報が飛び込んでくることも多いということです。例えば、日本よりも雪の存在が身近である北欧諸国などは、雪の降り方によって細かく天気マークが設定されているといいます。そういった変化を見つけてみるのも楽しそうですね。