米国大リーグ「ロサンゼルス・ドジャース」所属の大谷翔平選手の銀行口座から、1600万ドル(約24億5000万円)を違法ブックメーカーに不正送金していたとして、銀行詐欺容疑で訴追された元通訳の水原一平容疑者。米ニューヨーク・タイムズの報道によると、3月20日、韓国・ソウルで行われたドジャース開幕戦の終了後、2人は宿泊先のホテルにて対面。その際、同容疑者は自身に巨額の借金があることと、大谷さんの銀行口座からお金を盗んだことを告白し、「大谷さんが借金を肩代わりした」ことになるよう“口裏合わせ”を懇願したといいますが、大谷さんはこれを拒否し、代理人を呼んだと伝えられています。

 この「拒否」について報じられると、ネット上では「なんという冷静な判断力」「流されずに拒否できるすごさ」「拒否してくれて本当によかった」と称賛の声が多数上がる一方で、「もし、首を縦に振っていたら…と考えると怖い」「拒否してなかったらどうなってたの?」など、承諾していた場合の展開を気にする声も聞かれます。

 もし仮に、肩代わりの提案を大谷さんが「承諾」していたら、罪に問われていた可能性はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

「証拠隠滅罪」に問われた可能性も

Q.仮の話として、水原容疑者の「借金を肩代わりしたことにしてほしい」という“口裏合わせ”の提案に対し、大谷さんが「承諾」していた場合、大谷さんは何らかの罪に問われた可能性があるのでしょうか。

牧野さん「仮に、大谷さんが口裏合わせに『承諾』していた場合には、大谷さんは証拠隠滅罪(destroying evidence)に問われ、6カ月以下の禁固もしくは1000ドル以下の罰金、またはその併科に処される可能性がありました。

さらに、こうした罰則に加えて、大谷さんのクリーンなイメージへの名誉損害や、MLBからの処分の方が、大谷さんにはダメージが大きいと思います。

米連邦検察の会見を見る限り、大谷さんが、水原容疑者からの悪質な誘いに乗らずに、クリーンなイメージをファンのために守ってくれたことに感謝しかありません」

Q.口裏合わせの依頼については、ネット上で「保身のことしか考えていない」など厳しい声が多数聞かれます。

牧野さん「仮に、水原容疑者からの『口裏合わせの依頼』が事実である場合には、証拠隠滅罪(destroying evidence)の未遂罪に問われ、6カ月以下の禁固もしくは1000ドル以下の罰金、またはその併科の罰則が、すでに犯した犯罪の罰則に、単純に上乗せされる可能性があるでしょう」