サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。2010年公開の『インセプション』をご紹介します!

『インセプション』(2010年・アメリカ)

(配信:U-NEXT/ Amazon Priime Video /Hulu)

『インターステラー』『TENET テネット』などで知られるクリストファー・ノーラン監督作。対象の夢の中に忍び込み、貴重な情報を盗み出す産業スパイのコブ(レオナルド・ディカプリオ)。国際指名手配となり愛する子供たちが待つ家へ帰ることのできない彼は、罪を帳消しにすることを条件に、対象の夢の中で特定の考えを植え付ける至難の業“インセプション”の依頼を引き受けるのだが…。

ノーラン作品といえば、その特異な設定が際立つ物語が魅力的であるが、同時に、その世界観を体現するための特異な映像表現も魅力的。夢の中の世界を表現するにあたり、CGを用いる場面はありながらも、線路のない車道を走る列車やペンローズの階段、無重力空間でのアクションシーンなど、どのように撮影しているのか容易には分からない実写映像が無数に存在する(撮影の裏側を知りたい方はBlu-rayなどの特典映像を要チェック)。そんなとんでも映像の数々と俳優陣の名演がもたらす絶対的な説得力により、夢の中、そのまた夢の中、そのまた夢の中と、幾重にも重なる夢の世界を体現。

達成困難なミッションに臨むコブが辿り着くラストシーン。その結末をどう受け止めるかは、あなたの目と心次第…。ちなみに、最新作『オッペンハイマー』の主演を務めるキリアン・マーフィーが、物語の鍵となる人物を演じています!

(C) Warner Bros. Entertainment Inc. and Legendary Pictures

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ミヤザキタケル1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。