PRESIDENT Online 掲載

現在、日本国内にインターナショナルスクールは107校ある。ここ5年間で20校の新設ラッシュ、プリスクールやキンダーガーテンは800園に達する。「プレジデントFamily」編集部が、学費が年200万円超のところもあるインターに入れるメリット・デメリットを専門家や卒業生に聞いた――。

※本稿は、「プレジデントFamily2024春号」の一部を再編集したものです。

■インターで学ぶメリット

その青年は、センスのいいビジネススーツを着こなして、颯爽(さっそう)と現れた。

小学6年生のときに世界ジュニアゴルフ選手権で準優勝し、「天才現れる」と話題をさらった青島賢吾氏。「アーノルド・パーマーカップ」(全米大学選抜VS.世界大学選抜)に世界大学選抜として出場するなどトップアマとして活躍し、今は大手外資系金融会社の東京支社に勤務する。

「プロゴルファーの道に進むという選択肢もありましたが、一つの世界だけじゃなく、いろいろな経験をしてみたいなと思ってビジネスの世界に飛び込みました」

そう語る賢吾氏は、父の仕事の関係で、1歳でハワイに、5歳でカリフォルニア州シリコンバレーにあるThe Harker Schoolに入学し、キンダーガーテンに通った。その後帰国し、西町インターナショナルスクール(東京都港区)に。

14歳で再びハワイに渡り、イオラニ高校、ウェイクフォレスト大学、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)を経て、UCLA大学院に入学(現在休学中)。まさに文武両道を極めた学生生活を送った。

「好きなこと、得意なこと、子供の頃からずっと続けてきたことが評価されるのが海外のトップ大学の良さです。それはインターナショナルスクール(以下・インター)でも一緒です。学歴だけじゃなく、自分の個性や才能を伸ばしてくれます。中学受験をして勉強一本になるよりは、好きなことと両立できるインターへ、というご家庭も増えてきています」

こう語るのは、賢吾氏の父で、海外留学やインター進学を希望する親子に向けてアドバイスやカウンセリングを行う「FutureEducation」(会員制、東京都渋谷区)の代表を務める青島慶明氏だ。慶明氏はシリコンバレーで働いた後に帰国し、電子デバイスのプログラミングサービスを行う会社の経営者でもある。

「私はイギリスの高校で3年間学び、ハワイとカリフォルニアで過ごしたことで英語はできます。でも、どうしても越えられない“壁”を感じてきました。たとえば日本ではエレベーターの中では、黙っていることが多いですよね。アメリカでは逆に、同乗者がいたら話しかけないといけないんです。『今日のジャケット、すてきね。どこで買ったの?』などと声をかける。こうした文化の違いを肌で感じ取ることが、海外の人と一緒に学ぶことの大切なところです。ですから、子供には、もっと深ところで海外の人と交流できるようになってほしいと感じていました」(慶明氏)

そのためにも、大学からではなくもっと早い段階で留学するか、国内ならインターに通わせ、語学に加え異文化を学ばせたいと考えたという。

今、外資系とはいえ、日本企業を相手にするお堅い世界に身を置く賢吾氏は、文化の違いを感じつつ、どこか楽しんでもいるという。

「私は、いろいろな国の人と接しながら教育を受けてきたので、自分と違う価値観の人がいるのは当たり前なんです。その違いから学ぶことも多いですね」(賢吾氏)

日本国内にいながら異文化に触れられる場所、それがインターナショナルスクールだ。